ハンドボール女子日本代表「おりひめジャパン」に“秘密兵器”が加わった。1日、都内でパリ五輪世界最終予選(11日開幕、ハンガリー)の代表20人を発表。大体大4年で国際試合経験のないRW吉野珊珠(さんじゅ、21)が名を連ねた。4チーム総当たりで上位2チームが五輪切符。48年ぶりの自力出場へ「与えられた時間でチャンスを物にしたい」と目を輝かせた。

サンゴの珊と真珠の珠。母が「宝物のような存在に…」と願った3きょうだいの末っ子は名古屋市で生まれた。長良中時代は投手としてソフトボールの愛知県選抜で全国大会出場。特待生で高校進学の選択肢もあったが、タレント発掘・育成プログラム「J-STARプロジェクト」を受けると、ハンドボール界から誘いがあった。名古屋経済大市邨高から強豪大体大へ進学。大きくジャンプしながら上半身を反る独特なシュートは、大学と日本代表を指揮する楠本繁生監督(59)が「体がバラバラ」と表現する個性として輝いた。

早くもCB相沢菜月主将(25=北国銀行)に「ムードメーカー」と太鼓判を押され、楠本監督からも「ここ半年間で右肩上がり」と評される。天真らんまんな21歳は「目標の場所。ハンドを知ってもらうきっかけになりたい」と夢のパリ五輪を諦めない。【松本航】

◆パリ五輪への道 世界最終予選がラストチャンス。3つの開催地(ハンガリー、スペイン、ドイツ)で各4チームが戦い、上位2チームずつの計6チームが五輪出場権を獲得。ハンガリーに乗り込む日本は、開催国枠で出場した21年東京五輪で12チーム中12位。五輪4位のスウェーデン、同7位のハンガリー、カメルーンと五輪へ2枠を争う。