12年ロンドン五輪(オリンピック)競泳男子200メートル背泳ぎと400メートルメドレーリレーで銀メダル、100メートル背泳ぎで銅メダルを獲得した入江陵介(34=イトマン東進)が3日、現役引退を発表した。

都内のホテルで引退会見に臨み、言葉を詰まらせながら「本当に長く競技生活を送ることができて、心から幸せだったと思います」。涙をこらえきれずに「水泳がないのが、うれしい気持ちもあるけれど、寂しい気持ちもあります」と思いを口にした。

日本競泳界をけん引した功労者だった。09年にマークした100メートル(52秒24)、200メートル(1分52秒51)は現在も日本記録として残る。3月のパリ五輪代表選考会では日本競泳界初の5大会連続五輪を逃し「スッキリした気持ちと、どこか悔しい気持ちと、晴れやかな気持ち、いろいろな感情が交ざっています。高校2年生から昨年まで18年間、日本代表。人生の半分以上が日本代表で、家というか、家族というか、そういう人たちの中で成長できました」と感謝を伝えた。

会見にはサプライズでともにロンドン五輪のメドレーリレーで銀メダルを獲得した北島康介氏(41)がサプライズで駆けつけた。今後は後進の指導、大学院進学などを志し「小さい時の夢がアナウンサー。今まではずっとメディアに伝えていただく立場。伝える立場にもなってみたいです」と笑顔を見せた。【松本航】

◆入江陵介(いりえ・りょうすけ)1990年(平2)1月24日、大阪市天王寺区生まれ。近大付高-近大。08年北京五輪は200メートル5位。09年世界選手権で100メートル4位、200メートル銀メダル。11年世界選手権、12年ロンドン五輪は100メートル銅、200メートル銀。男子400メートルメドレーリレーはロンドン五輪銀メダル、13年世界選手権で銅メダル。自己ベストの100メートル52秒24、200メートルの1分52秒51は日本記録。16年リオデジャネイロ、21年東京五輪にも出場。趣味はスポーツ観戦、音楽鑑賞、ピアノ演奏。178センチ、64キロ。