フィギュアスケートの元世界女王で、4月に第1子の女児を出産した安藤美姫(25=新横浜プリンスク)が5日、横浜市内で記者会見した。<会見要旨=その2>(安藤による冒頭の近況報告が終わり、質疑応答へ)

 -娘を出産し、母になってのスケートとの両立について

 いろいろ大変ですけど、ことし1年は競技者として頑張っていくと決めています。いまスケートのことと半分半分、娘のことを一番に考えたいけど、日本代表としていままでやってきて、サポートしてくれる方も多い。応えられるように練習はしていますし、どの試合が与えられるか分からないですけど、競技者として日々過ごしています。

 家に帰れば娘がいるけど、いまは環境が良くなくて、親戚や知り合いに預けたりしているけど、自分自身スケートをやっている間は家族だったり、親戚が娘を見てくれていて、そういう環境にあるのは幸せだと思いますし、出産を終えて、世の中のお母様方は素晴らしいとすごく尊敬していて、朝まで寝なかったりとか、それでも家事をして家を守ったりとか、尊敬の意を持っている。世界中のお母さんの仲間入りをしたいなあと、両方を自分なりに頑張りたいと思っています。

 -赤ちゃんとのふれあいについて

 娘と触れ合っている時は母親なので、スケーターはなしで。いろいろつらい時期もあの報道以降あったけど、彼女の力は本当にすごいな。疲れて帰ったり、悩んだりしても彼女がいるから踏ん張って頑張らないといけない、と思う。生まれてきてくれたことに感謝しています。

 

 -今季のプログラムについて

 曲名は振付師に伏せるように言われているので言えないです。ナターシャ(・ベステミアノワ)とイゴール(・ボブリン)、ロシアの振り付けの方が去年の10月の時点で足を運んでいただいて、今年の夏も日本に来て手直しをしました。

 SP(ショートプログラム)はいまの自分には合っている。大きな意味を持った曲を選曲してくださった。自分自身を表現する、できる柔らかい曲です。

 フリーはリー・アン・ミラーです。クレオパトラとかシニアに転向した時の振付師で、こちらは自分と彼女との思い入れのある曲にしました。フィギュアスケートをやってきて、ちょっと成長したなとか、転機のあった時期に使っていた曲をもう1度使っているので、その時とはまったく違った曲、すごく力強い曲なので、歴史に残る、安藤美姫というスケーターの中でいいプログラムにしたい。

 (練習については)いまは外の環境がよろしくないので、練習も行けない状態で控えています。日本では夜に練習して、アメリカの練習は朝と夜に2回、3~4時間です。それ以外はオフアイスの練習も。これからプログラムの方に入ります。(フリーの曲は)内緒です。自分を昔から知っている方はどうしてこの曲を選んだか分かってもらえると思う。

 -コーチについて

 1人声をかけていたコーチに話をして、最初はいいお答えをいただいてたけど、昨日の朝、返事をいただいて「ノー」だったので。また新しい先生を見つけようかなという段階。もう1人声かけたい先生がいる。決まり次第報告させていただきたい。

 -今後、戻る上でジャンプ課題に

 体の変化、筋力低下が影響していて、あまり本調子じゃない。3種類のトリプルはできて、サルコーは確率がいいので、あと2種類は、降りられるかなという感じ。毎日練習を積み重ねれば心配はしていない。最終的な大きな試合でジャンプを取り戻せることが目標。無理してけがしないことを第一にやっています。(体の)戻りはいいです。

 -五輪を見据えて競技に戻った理由について

 自分自身、いまは五輪に出られる状態ではない。まだ100%五輪を目標に持てるかというと、そういう立場ではないので。なんでまた戻ってくるのかというと、現役でもう1年と思ったかというと、11年の時点で引退してもいいかなと思ったんですが、日本って「引退します」と言ってから試合に出るパターンが多い。米国だと引退を発表して試合に出る選手は少ない。いろんな人に止められ、サポートしてくれた周りの方、応援してくれている方への感謝の気持ち、意志を持って1年臨みますと。

 結果じゃない、自分の安藤美姫のスケートをまた競技の場で見たいという方がすごく多い。応援してくれる方の後押しがあって、いまの答えにつながっています。フィギュアやってきて、自慢できるものをやってきた気持ちがある。フィギュアスケートって本当に素晴らしいっていうのは伝えられると思うので。シンプルに頑張って競技者としてやっていこうと思った。ご理解してくださる方がいるなら、1年応援してください、の一言に尽きます。

 -ブランクもあって生活環境も変わり、新たに気づいたスケートの良さ

 小さい頃からスケート靴で氷の上でジャンプして、回るのが日常だった。いままでテレビ越しとか、ショーに足を運んで来てくれる方に「特別なことをしてる」と言われても本当にぴんと来なかったんです。

 体の変化、出産を経て1日目に氷の上に乗った時は、靴もすごく重くて、バランスも悪くて、今まで味わったことない感じを受けました。スケートってすごいことなんだ、周りからの意見の気持ちを味わえた。初めて自分はすごいことをやっているんだと自信を持てた。無駄なことやってなかったんだと再認識できた。スケートの楽しさを一から見つけたという感じです。ダブルまでは戻ったけど、トリプルはすごく苦労して、跳べた時は小さい頃を思い出した。ショーで滑る機会をつくってくださった方に感謝しないといけない。人の前で滑るすばらしさをかみしめられた。いまは、1試合目は緊張もあると思う。子ども時代に戻った感じでスケートを楽しんでいます。

 -久々の試合、表現してみたいもの

 ショートは自分を表現できればいい。フリーの方は思い入れのある1回使った曲で、違った印象持ってもらえるように、試合でもメッセージを伝えられるようにしたいです。技術は練習あるのみ。1試合目は10月だと思う。そこまでは100%に戻せるか分からないけど、努力して戻すぞという気持ちでやっています。