全国高校選抜バレー(春高バレー)は20日、東京・代々木第1体育館で開幕する。4年ぶり5度目の出場となる県男子代表の聖隷クリストファー(静岡)は初戦(21日)で2年ぶり4度目出場の大塚(大阪)と対戦する。「過去最高」といわれる3枚エースが、16強の壁をこじ開け新たな歴史をつくる。

 「一発目が肝心。それさえ乗り越えられれば波に乗れる」。聖隷の田川明浩監督(40)は不敵な笑みを浮かべた。初戦の相手は、強豪ひしめく大阪大会を勝ち上がってきた大塚。新チーム結成後の練習試合は全くの五分だ。「高校生は2カ月たつとまるで別のチームになる。うちもそう。過去最高の3枚看板さえ機能すれば上が見える」(田川監督)と組み合わせに恵まれただけに、初戦さえ突破すれば83年、04年の16強以上が現実味を帯びてくる。

 聖隷が誇る3枚看板は井筒章(1年)風間淳機(2年)杉本龍馬主将(2年)の3人。「どこのチームにいってもエースになれる素材」と指揮官が話すように、県決勝でも33得点をマークした破壊力抜群のトリオだ。

 その中でも初戦に最も闘志を燃やしているのが、最高到達点333センチで高い打点からのスパイクが武器の1年生エース井筒。大阪出身の井筒は「大塚の選手?

 ほとんど知り合いですよ」。中でも中学時代、大阪南選抜で同じチームメートだった大塚のスーパエース新井洋介(1年)とは大親友。普段から携帯メールや電話で近況を報告しあう。2月20日から26日まで行われた全日本ユース合宿では夜中まで、トランプをして盛り上がった。しかし2日に、対戦が決まってからは「気が緩むのが嫌」だからと一切連絡を取り合っていない。練習試合で対戦したときも周りが「目の色が違う」と驚いたほど闘争心むき出しに戦った。

 今後は大学生相手に練習試合を積み、18日に決戦の地、東京入りする。「目標?

 センターコートじゃない。全国制覇です」と井筒は言い切った。3枚看板が融合した時、初の全国の頂が見えてくる。【鶴智雄】