フィギュアスケート女子の安藤美姫(21=トヨタ自動車)が、バンクーバー五輪シーズンの今季、クレオパトラで勝負する。GPシリーズに向けた会見が4日、都内で行われ、今季のフリーは古代エジプトの女王クレオパトラの人生をイメージして滑ることを明かした。女子で唯一成功したことがある4回転ジャンプに頼らず、表現力に磨きをかけて五輪メダルに挑む。

 今季初戦となるロシア杯(22日開幕、モスクワ)を前に、安藤が初めてフリーの演技内容について明かした。3日のアイスショーでは、クモの巣をイメージした衣装で登場し、今季のショートプログラム(SP)を初公開。そしてこの日、「フリーではクレオパトラの人生を表現したい」と、晴れやかな表情で話した。

 曲は米ドラマ「ローマ」で使用されているもので、クレオパトラをイメージさせる、オリエント調の音楽だという。クレオパトラといえば、古代エジプト最後の女王として有名だが、安藤は「女王である前に1人の女性。恋をしていれば息子さんもいる。内面の強さを見習いたいし、そういった部分を表現したい」と、目を輝かせた。

 9月末まで2カ月近く行った米国合宿では、クレオパトラにまつわる映画などのDVDを借りて勉強した。実は帰国直前の約1週間前、米コネティカット州で行われたアイスショーでフリーを滑ったという。観衆の反応もよく、手応えも感じている。

 今年3月の世界選手権では、左太もも裏負傷の影響もあって4回転や2連続3回転など、高難度のジャンプを回避しながらも銅メダルを獲得。ジャンプで稼げなかった得点を表現力で補えたことで、ジャンプ重視の考え方が変わった。クレオパトラには以前から興味を抱いていただけに「共通点は黒髪かな」。染めることが多かった髪も、役になりきるため戻した。バンクーバーで、真の「女王の舞」を見せることができるか。「美姫クレオパトラ」に注目だ。【高田文太】