聖光学院(福島)は7-24で城東(徳島)に敗れ、初出場初勝利を逃した。花園初陣を白星で飾れなかったが、NO8藤田優希弥主将(3年)が全国初トライ初得点を挙げ、チーム史に新たな1ページを記した。

創部52年目で全国初挑戦の聖光学院が1チャンスをものにし、全国初得点を挙げた。0-19の後半11分、5メートル中央スクラムから藤田主将が右に持ち出し、ゴール右横にジャンプしてトライ。同主将は「スクラムを組む前に『自分がいく』と伝えた。キャプテンとして前にいく気持ちを出せた。1つの目標だったのでよかった」と振り返った。

一方で、手痛い洗礼も受けた。開始5分に先制トライを許し、主導権を奪われる。終始、追う展開で敵陣22メートルラインを越えたのは、トライにつなげた1度だけ。藤田主将は「高い壁だった」と悔しさをにじませ、佐藤忠洋監督(44)は「動きが硬く流れをつくれなかった。相手ディフェンスが1枚も2枚も上だった」と完敗を認めた。

学校のある伊達市は東日本大震災後、復興支援を受けた三菱重工相模原(トップチャレンジリーグ)と交流。チームは元日本代表の安藤栄次コーチと伊藤雄大コーチ(ともに36)の指導を定期的に受けて悲願の全国切符を勝ち取った。ベンチ入りした安藤コーチは「(指導に)行くごとに成長を感じた。勝たせてあげられなかったのは僕たちの責任。悔しいと思って今後も継続していけばもっと強くなる」と、ねぎらった。

創部52年目の全国初勝利は逃したが、チーム史に確かな足跡を残した。来春、就職してラグビーから離れる藤田主将は「この舞台に立てたのは(三菱重工相模原の)おふた方のおかげ」と感謝。さらに「(後輩たちには)僕たちの壁を越えてもらいたい」と期待を寄せた。【佐々木雄高】