全国高校ラグビー大会は今日30日、シード校が登場し2回戦が行われる。初の全国制覇を目指すAシードの大阪桐蔭(大阪第1)は29日、東大阪市内で練習を行い、土佐塾(高知)との初戦に向けて調整した。前回大会では東海大仰星(大阪)に敗れ準優勝。チームをけん引してきたCTB松山千大主将(3年)が雪辱の舞台に闘志を燃やした。

大阪桐蔭は午前中に2時間、パスの連係やタックルなどの確認を行い初戦に向けた準備を整えた。

初戦最後の調整を終えた松山は「雰囲気的に油断が見られていたが、この練習でしっかり修正できた」と手応え。松山は同校野球部でロッテからドラフト1位で指名された藤原外野手や日本ハムのドラフト5位柿木投手らと同級生で、大会前には「頑張れよ」とエールをもらったという。「(野球部は)勝って当然のプレッシャーの中で春夏連覇してすごい。ラグビー部も優勝したい」と意気込んだ。

チームをまとめてきた松山を、綾部正史監督(43)は「彼は心(しん)のある子」と評価する。松山は全選手の投票で主将に決まった。しかし「順調なチームと思われるかもしれないが、春先は空回りしている時もあった」と主将の苦悩を振り返った。「松山は自分が先頭に立たないとと意識し過ぎていた」。それでも綾部監督は「こちらがぎゃーぎゃー言っているうちはレベルが低い。常に自分たちで解決すること、気づくことを言い続けた」と選手の自主性を信じた。高校日本代表候補を複数人抱えるビッグチームを「松山はしっかり周りを見られるようになった」と成長したキャプテンシーが支えた。

前回大会、東海大仰星に敗れ惜しくも準優勝に終わった雪辱の舞台に帰ってきた。松山は「最後の花園に自分の全てを出し切りたい。絶対日本一になる」と闘志を燃やす。綾部監督も「彼ら自身が悔しい思いを持って1年間やってきたことは乱れることはない」。精神的にも大きくなった大阪桐蔭フィフティーンが、悲願の全国制覇に向けて発進する。【鶴屋健太】