ワールドカップ(W杯)イヤーの国内開幕戦でサンウルブズが、昨季プレーオフ4強の強豪ワラタス(オーストラリア)に30-31で惜敗した。

1点差の終了間際にSOパーカーのDGが外れ金星奪取こそ逃したが、今季初の勝ち点1を獲得。9月開幕のW杯日本大会に向け、日本代表のジョセフ・ヘッドコーチも見守る中で、同候補のCTB中村亮土(27=サントリー)が力強い防御で存在感を示すなど収穫の多い一戦となった。開幕2連敗で、次戦は3月2日にチーフス(ニュージーランド)と敵地で対戦する。

残り2分。敵陣深くまで攻め込んだサンウルブズは、ラインアウトからの展開で、SOパーカーの左足にかけた。22メートルライン中央付近からのDG。ボールはわずかにポールの左に外れ、目前に迫った金星を逃した。それでも、先発に11人のオーストラリア代表を並べ、昨季25-77と大敗した強豪を相手にがっぷり四つの試合を展開。ハンセン・ヘッドコーチ代行は「結果はがっかり。ただ、誇りをもってプレーしてくれた」と敗戦にも選手をたたえた。

リーチ、松島ら日本代表の主力が国内の候補合宿で調整を続ける中、CTB中村が猛アピール。前半7分に「アイコンタクトが分かった」と自陣で相手のパスをカット。60メートル以上を突破し、WTBファンデンヒーファーのトライを演出すると、後半には1対1の局面で相手を何度も止めるなど、攻守に輝きを放った。3月末ごろの代表主力の合流を前に結果を出し「満足はしていないが、手応えはある。毎回がチャンス」と充実感をにじませた。

歴史的勝利を挙げた15年W杯の南アフリカ戦を国内のスポーツバーで観戦。「今の自分ではここには行けない。はい上がろう」と意識を変えた。ジョセフ体制下の17年春に代表候補に選出。昨秋のイングランド代表戦で先発に名を連ねるなど、体の強さを生かした防御を武器に、信頼を勝ち得てきた。ラファエレらとの激しい代表でのポジション争いは続くが「自信のある防御をさらに突き詰めていくだけ」。W杯開幕まで7カ月。迷いなく、体を張り続ける。【奥山将志】

◆W杯に向けた日本代表の強化 2月からサンウルブズ、日本代表候補合宿に分け、強化を続けている。サンウルブズに参加している代表候補(中村、山下ら)は実戦経験を積むのが目的で、国内で候補合宿中のリーチ、田中、福岡らは、3月末から段階的にサンウルブズに合流予定。サンウルブズに合流しないメンバーは「ウルフパック」という特別チームを編成し、5月までに国内外で5試合の練習試合を行う。2チーム同時に活動し、6月の日本代表宮崎合宿に向けた準備を進めていく。代表は7~8月にパシフィックネーションズ・カップで3試合、その後W杯メンバーを発表し、9月の南アフリカとのテストマッチを経て、同20日開幕のW杯に臨む。