前回大会を知るWTB松島幸太朗(26=サントリー)が、初戦から爆発した。前半11分にラファエレ、トゥポウとつないだボールを受け、大歓声を受けて右サイドを疾走。日本の今大会ファーストトライを決めると、前半終了間際にはゴール前ラックから右展開したボールを受けて中央まで回り込んでトライした。

 

そして、後半28分。この日3つ目のトライを右中間に決めた。W杯で日本選手が1試合3トライしたのは初。しかも、チーム4トライ目でボーナス勝ち点も獲得する貴重なトライ。前回大会1点も取れずに3勝しながら1次リーグ敗退した原因の1つとなったボーナス勝ち点を得て、最高の滑り出しにした。「トライはみんなでついなで取れたのでワンチームでできた。(声援が)しっかり耳に届いてそれが力になってみんなを動かせる原動力になった」と振り返った。

前回大会、22歳で大活躍した。南アフリカを破った試合では後半にサインプレーから抜け出して五郎丸の同点に追いつくトライをアシスト。1次リーグ全4試合に出場し「陰のMVP」とも言われた。日本躍進の象徴でもあった。

もっとも、前回は「先輩についていけばいいと思っていただけ」。4年間で経験も積み、リーダー陣の1人としてチームのまとめ役ともなった。「スキルも伸びたけれど、一番はメンタル。試合でも落ち着いてできる」と胸を張った。

桐蔭学園高卒業と同時に単身南アフリカに渡り、強豪シャークスのアカデミーに入った。有力選手は強豪大学に行くのが当たり前の中、あえて厳しい場に身を置いた。活躍が認められてU-20南アフリカ代表候補になったが「将来は日本代表でプレーがしたいので」と辞退。日本代表への思いが大爆発につながった。

「フィニッシュにこだわりたい」と話していたW杯で初戦から3トライ。「この大会で活躍して、今度は欧州に行きたい」という目標に近づいた。当然のように、この試合の最優秀選手にも選ばれた松島が、W杯日本大会を席巻する。