日本ラグビー協会が、日本代表をW杯で開幕2連勝に導いたジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(49、HC=ニュージーランド)と、W杯後の契約延長で基本合意に達していたことが29日、複数の関係者への取材で分かった。W杯開幕前の9月中旬に協会内の方針を固め、本人も続投に前向きな意向を示したとみられる。条件面などの詳細は今後詰めていく形となるが、新たな契約は2年になる見込み。同HCは、16年9月1日に、19年12月31日までの契約を結んでいた。

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歓喜に沸くアイルランド戦の勝利から一夜明け、ジョセフHCの続投に向けた交渉が大筋合意に達していたことが判明した。関係者によると、日本ラグビー協会はW杯開幕前に契約延長の方針を固め、指揮官の意向を確認しながら、水面下で調整を続けてきた。ジョセフHCも3年間率いてきた日本代表への愛着は深く、続投に前向きな姿勢を示したという。

元ニュージーランド代表で、日本代表としても99年W杯に出場した経験を持つジョセフHCは、16年9月に、エディー・ジョーンズ氏の後任として指揮官に就任。日本が苦手としていたキックを用いた戦術を取り入れ、自国開催のW杯へ向け、戦術の幅を広げながら強化を続けてきた。グラウンド外では、選手の自主性を重視。リーダーグループに責任を与え、選手が自らの判断で動けるチームを目指してきた。指揮官としての情熱的な面と、ピッチ外での温厚な人柄に、選手やスタッフからの人望も厚く、今夏にはチームを5年ぶりのパシフィック・ネーションズ杯優勝に導いた。

7月には日本協会の清宮克幸副会長が「W杯の結果を見て次の人を探すと空白期間が生まれる。ジョセフHCが続投すべき」と語るなど、その手腕は協会内でも高く評価されてきた。

W杯では史上初のベスト8進出を目標に掲げ、ロシア、アイルランドを相手に開幕2連勝。世界ランキング2位(現在4位)のアイルランドからの歴史的勝利も、契約延長に向けた大きな追い風になりそうだ。日本協会はW杯での戦いを最優先し、条件面などの詳細は、現場に配慮しながら、タイミングをみて詰めていくとみられる。

◆ジェイミー・ジョセフ 1969年11月21日、ニュージーランド(NZ)生まれ。オタゴ大卒。NZ代表20キャップで、95年W杯準優勝。95~02年サニックス所属。日本代表は9キャップで、99年W杯出場。引退後の11~16年8月までスーパーラグビーのハイランダーズでHCを務め、15年優勝。現役時代のポジションはフランカー、NO8。196センチ、110キロ。