ラグビーのワールドカップ（W杯）日本大会組織委員会と国際統括団体ワールドラグビー（WR）は10日、東京都内で会見し、台風19号の接近に伴い、12日に予定されていたイングランド－フランス（横浜・日産ス）、ニュージーランド－イタリア（愛知・豊田）の1次リーグ2試合を中止にすると発表した。

9回目のW杯で中止は初めて。試合は引き分け扱いとなり、勝ち点2を分け合う。日本－スコットランドを含む13日の4試合は安全面などを見極め、当日朝に判断する。日本代表は同日、8強入りがかかる大一番に向け、都内で調整した。

組織委が、W杯史上初の中止を決断した。12日の2試合については、専門家の意見を聞きつつ、会場を変更した上での無観客試合、試合時間の変更、日程をずらしての実施など、さまざまなパターンを想定し、検討を続けてきた。しかし、チームの移動や宿泊、警備などの問題、チーム間による不公平さがぬぐいきれないことなどを踏まえ、最終的には大会規定通り、中止の判断に至った。

この結果、イタリアはニュージーランド戦を行わずに1次リーグ敗退が決まった。会見に出席したWRのアラン・ギルピン大会統括責任者は「今週末の全ての試合を開催できるよう、可能な限りの対策を検討してきたが、選手、観客、ボランティアらの安全を脅かす判断はできない。すべての方の安全を考慮した。決して簡単に決めたわけではない」と苦渋の決断であることを強調した。

組織委は、13日の日本－スコットランド（横浜）など4試合については開催する方向で努力するとし、嶋津昭事務総長は「台風通過後に、安全性を十分に調査した上で、なるべく早い時間に判断したい」と述べた。日本戦が中止の場合、日本は史上初の決勝トーナメント進出が決まる。