中止決定にもあきらめきれずに、スタジアム周辺には全国から多くのファンが足を運んだ。

スタジアム最寄りの鵜住居駅前の公共施設「うのすまい・トモス」にある巨大ラグビーボールのオブジェ前では、記念撮影をする人たちが詰め掛けた。盛岡市から来た武田奈美子さん(49)は、ナミビアとカナダ両国の手作りうちわを持参した。「楽しみにしていたので本当に残念。今回の対戦をいつかまたここで開催してほしい」と再戦を希望した。隣接する釜石祈りのパークでは、東日本大震災の慰霊碑に手を合わせる人の姿もあった。

大会にボランティアで参加した青森市の工藤朝彦さんは、市街地で釜石シーウェイブスの外国人選手が、率先して土砂の除去などのボランティア活動に励むのを見て「釜石のラグビーはやっぱり素晴らしい。まだまだ先がある」と感心しきりだった。

選手の家族も中止には納得の表情を見せた。カナダのプロップ、シアーズの母ローゼンマリーさんは、宿泊するホテルの前の道路が冠水し、「中止は残念だけど、これじゃしょうがないわ。またフランス(次回開催国)で会いましょう」と気持ちを切り替えていた。【野上伸悟】