<水泳世界選手権>◇第11日◇30日◇バルセロナ◇女子100メートル背泳ぎ

 五輪銅メダリストの意地がさく裂した。女子100メートル背泳ぎ決勝で寺川綾(28=ミズノ)が59秒23で銅メダルを獲得した。前半6番手も後半の追い込みで、世界選手権の日本女子最年長となるメダルをたぐり寄せた。「すごくすごく心配だったけど、自分のレースが出来た結果がメダルにつながった。すごくうれしい」と喜んだ。

 不安だらけだった。大会開幕とともに、安定感がなくなった。29日の準決勝では泳ぎがかみ合わず、いつもの綾スマイルに陰りが見えていた。だが、決勝までの1日。日本代表の平井ヘッドコーチからのアドバイスもあって突貫工事で、泳ぎを取り戻した。

 引退するつもりだった昨年ロンドン五輪後、現役続行を決めた。獲得した銅メダルには満足できない自分がいた。トレーナーに「五輪前に足を鍛えていれば、もっといい色のメダルが取れた」とアドバイスされ、週3回の筋力トレも開始。ジーンズのサイズがアップするほど太ももを鍛え上げて、バサロも強化された。

 「(五輪後)あの場で諦めていたら、きっと今の自分はなかった。自分にお土産もできて、続けて良かった」。五輪から世界大会で連続メダル。日本女子最年長の美人スイマーが、世界の本格スイマーに進化した。【田口潤】