現役時代は阪神一筋22年、4番や代打の神様で活躍した日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏(54)が試合をチェック。3連敗しなかったことが一番の収穫としながら、平均6回に満たない先発陣と登板過多気味な救援陣の疲労を課題に挙げました。【聞き手=松井清員】

阪神は前回抑え込まれた高橋礼に対し、3番に佐藤輝を置くなど左打者を並べた打線がハマりました。特に近本の先制2ランは大きかった。相手はクイックで投げたり、タイミングの取り方が難しい変則投手。足の上げ方を変えたり工夫しながら、バランスを整えてヘッドを走らせました。佐藤輝も追加点のタイムリー。1点差に迫られて流れが巨人にいきかけた中で、再び突き放した前川の適時打も価値がありました。もちろん、踏ん張って同点にさせなかった投手陣の貢献度も高いです。巨人を勢いづかせないためにも、同一カード3連敗は何としても避けたかった試合。勝ち切ったことに意義があります。

気がかりを挙げるなら、先発陣に少し疲れが見えているのかなという点です。4日は西勇が7回を無失点に抑えましたが、この日は才木が5回で降板。3連敗を避けたいベンチが、6回表の好機に代打を送るのはやむなしでしょうが、2点を失った5回はストライクボールがはっきりしていました。今年は延長戦も多いので、こうなると中継ぎ陣に負担がかかります。岩崎やゲラ、桐敷が31試合の半分近くに投げていることをみても、方程式にひずみが出る可能性がある。今季の阪神先発陣は平均6イニング未満なので、せめて6回以上は投げ切る試合を増やす必要があると思います。

巨人は3連勝で勢いづきたかったでしょう。でも今年のチームには粘りを感じます。戸郷や菅野ら先発陣をはじめ投手陣の充実が大きい。東京ドームで2カード負け越した阪神も、対戦で感じていると思います。昨年は18勝6敗1分けで圧倒しましたが、投手陣が安定していると簡単にはいかない。今年はペナントレースが混戦になる雰囲気を感じますし、警戒していくべきライバルになるでしょう。(日刊スポーツ評論家)

巨人対阪神 8回裏、阪神4番手で登板するゲラ(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 8回裏、阪神4番手で登板するゲラ(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 力投する阪神の先発才木(撮影・たえ見朱実)
巨人対阪神 力投する阪神の先発才木(撮影・たえ見朱実)
巨人対阪神 7回裏、阪神3番手で登板する桐敷(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 7回裏、阪神3番手で登板する桐敷(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 6回からマウンドに上がった阪神岡留(撮影・たえ見朱実)
巨人対阪神 6回からマウンドに上がった阪神岡留(撮影・たえ見朱実)