<東都大学野球:国学院大7-0亜大>◇第6週3日目◇27日◇神宮

 初優勝を祝う紙テープが舞う中、一塁側ベンチ前に国学院大ナインの歓喜の輪が出来上がる。ところが胴上げが始まらない。鳥山監督は輪を抜け出し、ネット裏を訪れた。「これは先生の優勝です。ありがとうございました」。握手を求めた相手は竹田利秋前監督(69=現総監督)だった。

 鳥山監督が恩師である竹田前監督の後を受けて就任したのは8月11日のこと。開幕まで1カ月なかった。投手陣は引き続き前監督に任せた。この日を含め勝負どころで3試合連続完封勝ち。鷲尾は「勝てば優勝、負ければ脱落」の試合で6回0/3を5安打零封した。最速140キロながらカーブ、ツーシームを交え低めを丁寧についた。「下半身を使えるよう竹田先生の指導でフォームを変えました。制球には自信があります」。鷲尾はエース高木がヒジの不安で欠場すると、その穴を埋めて4勝を挙げた。

 鳥山監督の口癖は「リプレー」だ。納得できないプレーは、何度も何度も繰り返させる。6回1死三塁。二ゴロが野選となった先制点は、このリプレーが生きた。好走塁。「よく練習でやっていたなあ」。ネット裏で竹田前監督がこう話した。選手の現状を知ろうと鳥山監督は部員全員にノートを提出させる。1年生は「寮生活について」4年生には「部に何が残せるか」等々。片道1時間半の通勤時間も使い目を通す。そんな把握術も実った優勝。今夏、修徳高(東東京)を率い、決勝戦で敗れた神宮でつかんでいた。

 それでも宙に舞うことはなかった。「相手もある。それにすべて通過点。次の戦いがもう始まっているんで」。次の戦いは東都代表として出場する11月13日からの明治神宮大会となる。【米谷輝昭】