4回表ヤクルト1死、村上は先発の左越えソロ本塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)
4回表ヤクルト1死、村上は先発の左越えソロ本塁打を放つ(撮影・滝沢徹郎)

ヤクルト村上宗隆内野手(19)が11日、巨人8回戦(東京ドーム)の4回に左翼へ貴重な先制10号ソロを放った。中学生の頃に憧れた西武森以来となる、高卒2年目での2ケタ本塁打に到達。売り出し中の若武者の打撃を、篠塚和典氏(61=日刊スポーツ評論家)がチェックした。

   ◇   ◇   ◇

ヤクルト村上の良いところは、ホームランを打てる自分のポイントをしっかり持っていて、そこで捉えればこの日のように逆方向に本塁打を打てること。本塁打もフィールド全方向に打てれば、それだけ数を稼げる。だから2年目にして早くも2桁に到達できたのだろう。

一方、まだ19歳ということで改善できる余地も多い。気になったのはバットを引いてトップの位置に入った時、グリップの動きが1度ピタッと止まってしまうこと。これだと打ちにいく動作にスムーズに移行できないし、速球に遅れがちになる。それでも真っすぐならば当てることもできるが、変化球は違う。逃げたり、食い込んだりという変化には、流れの中で打ちにいかないと対応できない。

プロの一流投手がこの日のホームランのように「自分の形」で打たせてくれることは少ない。崩された時にいかにそのボールを拾うか。それが打率アップにつながる。大きな当たりは魅力的だが、試合の流れを左右するのは「ここで何とか1本」という場面。現在、打率2割5分前後の村上ももう少し率を上げる意識を持ち、流れの中で打ちにいくスイングを身に付けたい。

ヤクルト打線は今、青木、山田哲、バレンティンの主軸3人が不在。大変かもしれないが、村上が「オレが引っ張っていく」くらいの気持ちでやっていい。今後はもっと研究され、厳しい内角攻めにもあうだろう。それでも本塁打だけでなく、打率も残せる打者として、さらに進化した姿を見てみたい。(日刊スポーツ評論家)

4回表ヤクルト1死、先制の左越えソロ本塁打を放った村上(手前)は生還しナインとタッチを交わす(撮影・滝沢徹郎)
4回表ヤクルト1死、先制の左越えソロ本塁打を放った村上(手前)は生還しナインとタッチを交わす(撮影・滝沢徹郎)