何を基準にするのかによって変わってきますが、独断と偏見で私なりの“イチオシ選手”を紹介しようと思います。まず、真っ先に頭に浮かんだ選手は、広島の田村です。

昨年、1軍デビューをしながら、わずか10試合で戦線離脱。成績は22打数8安打で打率3割6分4厘。死球を受けて骨折リタイアした外野手です。当初はそれほど気にしてなかったのですが、今季のキャンプを見て「これは出てくるな」とひと目で感じた選手でした。

178センチ、97キロで、ガッチリした体形通りの力強いスイングをします。技術的にもバットのヘッドが後ろ側に残り、内側から体に巻き付くように出てきます。昨年の8安打中、長打は2本の二塁打だけですが、ホームランも期待できるスイングです。

今年の広島は、オリックスにFA移籍した西川の穴をどうやって埋めるかが課題です。さすがに球界でもトップクラスの打撃センスを持つ西川の代わりを期待するのは酷です。しかし将来的なスケールで比較するのなら、田村の方が上だと感じさせるバッターです。

セの投手で飛躍が期待できるのは、中日の梅津でしょう。大卒でプロ入り6年目。年齢的に新戦力とは呼べないでしょうが、昨年トミー・ジョン手術から復帰。投球フォームと体つきが変わっていました。

投球フォームから言うと、手術前は右ヒジが背中側に入って投げていました。肘に負担もかかるし、真っすぐもシュート回転しやすくなります。それが復帰すると、テークバックがコンパクトになり、制球力も球威もアップ。肘への負担も軽減したと思います。体も全体的にビルドアップ。今季はまだ、間隔を空けての先発になるでしょうが、投げているボールだけの評価をするなら、2ケタは確実に勝つ投手の球質でしょう。プロ入り後、5年間でまだ7勝しかしていませんが、大きく飛躍する年になる予感がします。

パの投手ではオリックスの曽谷に期待しています。個人的には去年のドラフトでも、NO・1の評価をしていた投手です。まだ線が細く、本格化するのは2年後ぐらいになると思っていましたが、想像通り、オリックス投手陣の層も厚く、ルーキーイヤーは10試合の登板で1勝2敗でした。しかし、じっくりとプロの試合を経験できた上積みがあります。今季はエースだった山本由も抜けただけに、ローテーションに入っての活躍を期待しています。

1人に絞るのが難しかったのが、パの打者です。日本人選手の中から選びたかったのですが「これは!」という選手が思い当たりませんでした。そこで新外国人の中から考えました。日本ハムのレイエスと西武のアギラーのどちらかを挙げるか、迷いました。

オープン戦の成績だけで見ると、2割8分9厘で結果を出したアギラーでしょう。しかし今見る限り、ホームランをボコボコと打つようなタイプではないような気がします。それならオープン戦では戸惑っていましたが、慣れてくれば長打を打てそうなスイングをしているレイエスを挙げたいと思います。

勝敗を度外視した視線で、個人の選手を注目して見るのも野球の楽しみだと思っています。皆さんの予想はいかがでしょうか? (日刊スポーツ評論家)

セの投手で飛躍が期待できる、中日梅津晃大(2024年3月24日撮影)
セの投手で飛躍が期待できる、中日梅津晃大(2024年3月24日撮影)
パの投手ではオリックス曽谷龍平に期待(2024年3月5日撮影)
パの投手ではオリックス曽谷龍平に期待(2024年3月5日撮影)
パの打者では新外国人の日本ハム・レイエスに期待(2024年3月23日撮影)
パの打者では新外国人の日本ハム・レイエスに期待(2024年3月23日撮影)