侍ジャパンの4番候補、日本ハム中田翔内野手(27)の覚悟が伝わった。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕が3月に迫る。中田はキャンプのスタート地に米アリゾナ州ピオリアではなく、沖縄・国頭を選んだ。米国のトイレには「ウォシュレット(温水洗浄便座)がないから」と照れ隠しで話していたが「たくさん打ち込めるから」が本音だと感じた。

 第1クール、本当にバットを振っていた。初日、昼間の練習を終えると夜間練習も行うと宣言していた。イメージになかったので、初めてなのか尋ねた。ここ数年はあまり行っていなかったようだが「俺は夜間練習の鬼やった」と、お叱りを受けてしまった(すみませんでした)。若手の頃を思い出したように、夕食後、新人選手らと一緒に室内練習場に現れバットを振り込んでいた。昼間よりスイング数が上回ることもあった。

 手応えを得られて満足そうだった日、得られなくて落ち込んだ日、毎日表情は違った。初日は「毎回(キャンプの)初日はうまくいかん」と嘆き、約1時間20分の居残りロングティーで224スイング振り込んだ2日目は「1週間分くらい振ったから、明日北海道帰るわ」と上機嫌。長打があまり出ず、フリー打撃のみで練習を切り上げた3日目は「(打撃が)いい悪いの次元を通り越して腐ってる。ダメだね。2、3日バット振らんとこうかな」と自らダメ出ししていた。日々一喜一憂するのも、WBCが刻々と近づいている重圧と闘っているからだ。

 力を入れた結果、第2クールで慢性的に抱える左手首痛が出た。もしかしたら本人に多少焦りはあるかもしれないが、回復を祈るばかり。本番で納得のパフォーマンスを見せて欲しいから。キャンプ中、こうつぶやいていたことがある。「WBCの1試合はシーズンの5試合分くらい疲れるだろうな」。日の丸を背負って戦う。その意味を、中田は一番理解している。【日本ハム担当 保坂果那】