福島の3位決定戦で、磐城が福島商に競り勝ち、7年ぶり12回目の東北大会出場を決めた。24日のいわき光洋との準決勝で9回2死から飛球を落とし、勝利を逃す失策をした大西真平外野手(2年)が汚名返上の活躍。初回、内野安打で出塁し先制のホームを踏むなど、3安打で勝利に貢献した。春季東北大会は6月4日から5日間、福島市のあづま球場、郡山市の開成山球場で行われる。

 昨日の汚名は今日返す。1番大西は初回から燃えていた。「昨日は僕のせいで負けた。1打席目で決める気持ちで入った。自分の出塁でチームは活気づく。持ち味は足」。試合開始2球目を三遊間にたたきつけ、左打席から50メートル5秒9の脚力で一塁を駆け抜けた。1死一、三塁の先制機を導き、4番草野の三塁打でホームを踏む。チームに勢いをもたらし、失いかけていた東北大会切符をたぐり寄せた。

 痛恨だった。前日24日いわき光洋との準決勝1点リードの9回2死一、三塁。左中間に飛んだ飛球を中堅手とお見合いになりかけ、グラブに当てて落球した。同点に追い付かれ、延長11回に6点を奪われ4-10で力尽きていた。「整理整頓ができなかったり、部室を汚してしまうなど、日常の生活の悪いところが出たと思った」。試合後は号泣し、宿舎に帰っても食事がのどを通らなかった。

 それでも同校OBでもある木村保監督(44)はこの日も起用した。「どこまで男になれるか。(昨日の負けは)監督の責任。自分を責めちゃいけないと声をかけた。下を向いたプレーをしたら、交代させるつもりだった」。監督の期待に応えた大西も男だった。「先輩から切り替えて頑張れと声をかけられていた」。この日二塁打2本を含む3安打で気を吐いた。

 「いやらしいバッターになる。バスター、セーフティーで揺さぶりをかけたい」。東北大会でも暴れて、甲子園9回出場を誇る古豪復活の口火を切る。【高橋洋平】

 ◆大西真平(おおにし・しんぺい)1998年(平10)10月17日、埼玉県生まれ、福島県いわき市出身。小1から野球を始めて以来外野手。勿来一中ではいわき松風クラブでプレー。磐城に進学後、1年夏に背番号18でベンチ入り。175センチ、70キロ。右投げ左打ち。