<秋季高校野球北海道大会:北照4-0小樽潮陵>◇18日◇小樽地区1回戦◇小樽桜ケ丘

 北照が小樽潮陵に快勝し、3季連続甲子園へ発進した。左腕エースで主将の斎藤綱記(2年)が、7安打10奪三振で公式戦初の9回完封。打線は11安打を放ち、07年夏から続く地区連勝を55に伸ばした。18UW杯日本代表の吉田雄人外野手、前エース大串和弥ら3年生から受け継いだ伝統と経験を生かし、史上2校目の秋全道3連覇に挑む。

 王者のたすきは確実に渡されていた。1回表、内野安打で出塁を許した先頭の一塁走者が、じれて塁を飛び出したところを北照・斎藤がけん制で刺した。続く打者も四球で歩かせたが、再び刺した。前エース大串の武器を、後輩もモノにしていた。「体重移動を教えてもらいました」と斎藤。河上敬也監督(54)は「(けん制は)伝家の宝刀でしょう」と満足そうな笑みを浮かべた。

 新エースを打線が援護したのは5回裏だった。2死二塁から、山田宏夢一塁手が二遊間を抜く中前適時打を放って先制。土門愛大左翼手(ともに2年)も左二塁打で続いた。山田も土門も、春夏連続出場した甲子園メンバー。「経験のある僕たちが仕事をしないと」と、重圧をはねのけた山田がホッとした表情で言った。

 新チームの練習試合は、例年より少ない14試合。経験不足を18UW杯が開催された台湾から戻った吉田前主将が補った。同じ日本代表で、夏の甲子園で優勝した前橋育英・高橋光成投手(2年)のフォークの握り、プロ注目の桐光学園・松井裕樹投手(3年)の調整法…。目に映ったすべてを後輩に伝えた。「新たな目標(日本代表)ができました。だから甲子園に行きます」と斎藤は宣言した。

 8月に初孫が誕生した指揮官に「おじいちゃん初勝利」(河上監督)をプレゼント。今大会は北海(59~63年に5連覇)以来、2校目の秋全道V3が懸かる。「1試合ずつ経験して、先輩たちを超えます」と山田。3季連続の聖地へ、黄金時代は続く。【中島洋尚】