<高校野球神奈川大会:桐光学園2-1慶応>◇24日◇5回戦◇保土ケ谷・神奈川新聞スタジアム

 急きょ登板した桐光学園の1年生が強打の慶応打線を牛耳ってベスト8を導いた。下手投げの中川颯(はやて)投手だ。1回無死満塁。大ピンチで登板したというのに、三振、投ゴロ、三振に仕留めて得点を許さなかった。「準備はできていました。腕が振れて、調子はよかったです」。1年生は慌てず騒がず9回、125球を投げきった。

 失点は9回、先頭に本塁打を浴びた1点だけ。実は1点がなければ、珍記録が誕生していた。野球規則は「1回0アウト無失点のときに代わって出場した投手が無失点のまま試合を終わった場合に限って、完投投手ではないが、シャットアウトの記録が与えられる」とする。「完投ではない完封」を逃す1点だった。中川も「真っすぐが真ん中に入りました」と悔やんだ。

 高低を突く速球に、スライダー、シンカーもある。「間がいいです。持って生まれたものか、怖いもの知らずなのか」。野呂雅之監督(53)も実態がつかめない?

 他校にも不気味な1年生が現れた。【米谷輝昭】