日本ハム近藤健介捕手(21)が、開幕スタメンをぐっと引き寄せる満点アピール弾を放った。巨人戦の4回、相手先発の大竹から右翼席へソロ本塁打を放った。今季本拠地初戦でチームトップを切っての1発で、オープン戦でもチーム第1号。ダブルの初弾となった。昨季主力を務めた大野、市川がケガで調整が遅れる中、正捕手候補に大きく名乗りを上げた。

 持ち前の、思い切りの良いフルスイングが飛び出した。4回。近藤が、小柄な体を俊敏に回した。やや高めに浮いたカーブに、食らいついた。「打撃でアピールしないといけない」。満点の気迫を、打球に乗せた。右翼席ギリギリに吸い込まれるソロアーチ。今季、本拠地札幌ドームでのチーム1号、オープン戦3試合目でのチーム1号と、ダブルの節目を、力強く飾った。「いいアピールになったかな。(1号は)あんまり意識していないですけど…。どんどん、やっていきたい」とはにかんだ。

 危機的なチーム事情が、追い風になっている。正捕手の大野は右肘の違和感、市川は手術した腰のリハビリで復帰が遅れている。昨季は三塁での出場がメーンだった近藤だが、今季は捕手に専念。この日も含めて、ここまでのオープン戦全3試合でスタメン出場している。栗山監督は「現実的に言えるのは2人(近藤と石川亮)。それ(主力2人の復帰の可能性)も含めて、捕手は回していく」と説明した。近藤は「そこを(開幕マスクを)目標にやりながら。まずは、そこ」と鼻息は荒い。

 本職での活躍を目指し、着実に実戦感覚を養ってきた。春季キャンプ中の実戦12試合には、捕手で出場した。打撃では2月14日の練習試合DeNA戦(名護)での2ランを含め3打点にとどまっていた。オープン戦では7打席無安打。それでも「状態は悪くなかった。打撃練習からボールに対して強く振れている」と継続し、この日に実らせた。プロ4年目。近藤が大きな躍進へ、猛進していく。【田中彩友美】

 ◆日本ハム近藤の昨季守備位置 出場は89試合。うちスタメン出場は76試合で、ポジション別では捕手7試合、三塁手67試合、DH2試合。捕手は3、4月に6試合スタメン出場したが、5月以降は打撃力も買われて三塁手での出場が主となった。