嘆き節が、ちょっぴり止まらない。日本ハムが、オープン戦ながら単独最下位へ沈んだ。DeNAと引き分け。12球団で唯一白星がなく6試合4敗2分けと、あくまで今季の予行演習とはいえ不穏なムード。栗山監督が「勝たないとダメ。僕の心はモヤモヤしている」と少し危機感を漂わすほど、白星が遠い。開幕までの準備期間に残り9試合。勝ちパターンを模索し、仕上げていく。

 野球の本質を、自問自答した。栗山監督は、いつも本気だ。負ければ、ひたすら悔しい。オープンとはいえ、フラストレーションたまる引き分けに後ろ髪ひかれた。「野球ってさ…。勝つために必死にならないと、変わってしまう可能性があるんだよね」。本番想定でタクトをふるっているだけに、深く憂いた。

 もどかしい。4回に同点とし、主導権を奪った直後の5回。先頭打者の渡辺が四球で出塁し、勝ち越し点を生む突破口をつくった。続く西川に犠打を選択。2球ファウルで強攻策へ転じ、二飛に倒れた。チャンスを広げられず無得点に終わった。適した守備位置を探りながら、切り込み隊長に固定を狙う、今季のキーマンだけに、歯がゆい。

 厚みを増す気配十分の下位打線で、4回に一気に3点差を追いついただけに、試合の要所だった。オープン戦は残り9試合。開幕への所信表明のような札幌ドームでの巨人、DeNAとの計4試合で未勝利に終わった。栗山監督が「勝たないとダメ。僕の心はモヤモヤしている」との嘆き節は、本音だった。

 指揮官は本気モードだが、試合展開と結果がシンクロしない状況が続く。惜敗した3日の巨人戦後、コーチ陣とのミーティング。「オレは巨人に負けるのだけは、嫌なんだ!」。栗山監督はほかの話題を途中で打ち切り、心の叫びを訴えたという。大勝負に出ると決意の現場トップで迎える4年目。早くも勝敗に固執するガチンコ度が、頼もしい。理想、思惑通りに春本番まで仕上がれば、正真正銘のペナント奪還の芽はできる。【高山通史】