侍ジャパンの主軸らしい、豪快な弾丸ライナーだった。DeNA筒香嘉智外野手(23)が、4回無死走者なし、初球の直球を右翼スタンド中段まで一直線にたたき込んだ。ミートの前、テークバックからトップに行く間には、本塁打を確信していた。「打撃って、投手主導なんですけど、自分で打ちに行くのではなく、自分のタイミングで迎え入れる感覚」があった。確信に満ちたフルスイングで、高め直球を捉えた。本塁打は必然の結果だった。

 前夜は侍ジャパンの5番DHでナイターを戦った。「あそこは特別な緊張感があって、そこで出来たのは良い経験、自分にプラスになると思います」と、敗戦も含めて受け止めた。一夜明けたデーゲーム。試合前練習の始まる午前9時には「4番左翼」を確認し、スイッチオン。「普段からナイターの翌日にデーゲームがあるので」と、疲労などは意に介さない。器の大きさも主軸たる資質だ。

 逆転負けの悔しさを隠せない中畑清監督(61)だが、筒香の話題には目尻を下げる。「カッコいいね。打った姿、特に今日は良かった。4番に座って全然違和感がない選手になってきた」と成長を実感している。師弟関係も円満だ。中畑監督から試合前に「昨日、打ってくれて良かった。あれ、打ってくれないと、オレ、立場ないのよ~」と声をかけられ、無言でニッコリ。試合でガツンと返事をした格好だ。「状態はすごく上がってきている。ケガだけはしないように」と筒香。開幕だって「さあ、いらっしゃい」の心境だ。【金子航】