日本高野連は24日、令和8年度第2回理事会を開き、今夏の甲子園からリプレー検証が採用されることを発表した。

23年末に導入に向けた議論が始まり、25年1月から10回にわたり「7イニング制等 高校野球の諸課題検討会議」において議論が重ねられた。審判員へのSNSでの誹謗(ひぼう)中傷問題への意見も踏まえ、審判員へのリスペクトに基づきリプレー検証を採用する方針が明記された。「部員たちへ、より正しい判定を返す」という考え方のもとで肯定的に捉えられ「まずは、全国大会(選抜高等学校野球大会、全国高等学校野球選手権大会、明治神宮野球大会、軟式大会は対象外)でビデオ判定を実施し、都道府県大会での採用に際しての知見を蓄積していくため、本会議としてビデオ判定導入の方針となった」とした。

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日本福祉大付(愛知)・山本常夫監督(65)は、甲子園を監督としても、審判としても経験した珍しい指導者だ。斎藤佑樹投手を擁した早実(西東京)が優勝した06年夏の甲子園では塁審を務め、1つ、1つの判定が試合展開を大きく左右することを身をもって実感した。07~13年の神村学園(鹿児島)の監督時代には春夏通じて5度の甲子園出場に導いた。高校野球では、今夏甲子園からビデオ検証が導入される。その意義について「監督、審判とどちらの側に立っても、ビデオ検証が導入されることはいいことだと思います」と歓迎した。

監督の立場でいえば「地方大会では(微妙な判定が)山ほどありました。伝令を送って確認を求めることは可能でした。しかし、これまでは判定が覆るハードルが非常に高い印象でした。映像があれば『確認してください』と言いやすくなるし、より正確な試合運営になります」と捉え、審判の立場では「審判を守るという意味でも、導入は良いことだと思います。人間ですから間違いはあります。ミスを潔く認め、映像で確認した上で説明する方が、選手や観客からの信頼やリスペクトにつながる」と訴えた。

現状ではプレー中のアウト判定についてリプレー映像で検証することにとどまるが、MLBでは今季からABS(ロボット審判)が導入されるなど、機器を用いた判定が広がりを見せる。今後さらにビデオ検証の範囲が拡大することについて山本氏は否定的な立場を取り「審判ごとのストライクゾーンに打者が対応していくことも野球の醍醐(だいご)味です」と話した。

「夏の甲子園は野球をやりたいと思う子供たちを増やすための模範試合でなければならない」。65歳になった今、日本福祉大付を率いて、激戦区愛知から夏の甲子園を目指す。

◆山本常夫(やまもと・つねお)1961年(昭36)1月13日生まれ、大阪府出身。近大付から日体大を経て、母校・近大付で2年間コーチを務める。その後は大阪府、兵庫県で審判員を務め、06年夏の甲子園でも審判を経験。神村学園の監督時代には春夏5度の甲子園に導き、自由ケ丘(福岡)の監督を経て17年から日本福祉大付監督。