いきなり155キロだ。西武菊池雄星投手(23)が、イースタン・リーグのロッテ戦で今季実戦初登板し、プロ入り後の最速となる155キロを記録した。キャンプ序盤に発症した左肘の炎症で調整が遅れていたが、1回を無安打2三振と好投。開幕投手に予定されていた岸が離脱した西武に、頼もしい左腕が帰ってきた。

 寒風吹きすさぶマウンドに、菊池が仁王立ちした。ワインドアップから、打者を見下ろすように投げ込んだ直球は全12球が151キロを超えた。最速は伊志嶺を三振に仕留めた外角高めの155キロ。「目標にしていた数字をクリアできたのは良かった。でもうちのスピードガン、8キロくらい速いんで、147キロじゃないですか」。プロ入り後の自己最速だったが、冗談まじりに笑い飛ばした。

 今キャンプ第1クールの2月1日から4日連続でブルペンに入った。その代償か、左肘に炎症が起き、5日から9日間ブルペンに入らなかった。「今年こそ」と意気込んでいた分「俺、何やってるんだろ」と落ち込んだ。だが、投げられないことを逆手に取り、土肥投手コーチと50日計画の再生プランを練った。遠投やシャドーで体幹を使ったフォーム固めに時間を費やし、焦らずに復帰を目指してきた。

 急がば回れでフォーム固めを行った成果は、直球の質に表れた。「きれいな回転でいってるかなって思う」。回転の良さがキレとなり、この日は直球で3つ空振りを奪った。あまりに寒く、登板前のブルペンで83球も投げていた。試合の投球を合わせると96球。それでも疲労の色を感じさせない球筋だった。

 次回登板は29日の楽天戦(利府)で、高橋光との継投を予定。投球回数を3回ほどに伸ばし、段階を踏む。1軍昇格は、順調なら4月中旬になりそう。「今年は2ケタ勝つのが最低限だと思っている。岸さんが帰って来るまで、支える存在になれれば」と菊池。開幕投手が離脱した西武の救世主となる。【竹内智信】