沈黙に、ハッピーの嵐を巻き起こした。8回2死一、二塁。フラストレーション全開の日本ハムのジェレミー・ハーミッダ外野手(31)が、目覚めた。「ボールに当てると、何かが起こると思った」。カウント2-2と追い込まれた5球目。外角低め115キロのスライダーを、すくい上げた。打球は右中間へ弾け飛んだ。来日初の三塁打は、待望の先制打。手をたたき、歓喜に沸くチームメートへ誇らしげに笑いかけた。

 献身的な思いが、大一番で爆発した。5月に入り不振が続き、スタメンから外れることもあった。それでも得点圏打率は3割台をキープ。チームの勝利に続く働きに、執念を燃やしていた。デジャブのようなシーンがあった。4月28日ソフトバンク戦。主砲中田が敬遠され、走者一掃の適時二塁打を放っていた。この日も前打者中田が敬遠。「良い打者の後ろを打つときは、こういうこともある。ああいう時にスイッチを入れないと、入れる場面がないよ」と、心燃える舞台に仕上がった。

 献身的な思いが、少し報われた。メジャー時代に続けてきたルーティンを、日本でも実践。自身の活躍やチームの勝利が続くと、朝食や昼食で同じメニューを食べ続けたメジャー時代のある一戦で、本塁打に安打と爆発。その日から約3週間、朝食にピーナツバターのサンドウィッチを食べ続けたが、勝利の喜びが最高のスパイスになった。「日本ではラーメンかな? うどんかな?」と新天地での活躍へ気合十分だった。

 お立ち台では「ファイターズの5番ナンデ!」と決めゼリフ。青い瞳の「打」の立役者が、りんと咲き誇った。【田中彩友美】