これがリーグ戦ならば、大量得点で勝っていたかもしれない。工藤ホークスが「セの野球」に苦しんだ。劣勢の展開の中、打線は反発力を見せる。復帰した李大浩が4打席で出塁したが、走力がないため、三塁で足踏みするシーンが目立った。2、4回は満塁機でいずれも大隣が打席に立ち、三振に倒れた。「6連戦だし、あそこは替えられない」と工藤公康監督(52)は振り返った。試合も序盤で降板の選択肢はなかった。打線の巡り合わせが悪く、11安打を放ちながら、残塁は「14」。延長戦をのぞけば、今季最多の数字だ。

 交流戦初戦はオーダーをマイナーチェンジして臨んだ。好調の川島を2番に据え置き、中村晃を初めて7番で起用。「内川の調子が上がってきた。アキラは調子もいいし、ボールの見極めもできる。チャンスをさらに大きくしてくれる」。投手が打席に立つため、下位打線の打力を維持する意味合いもあった。狙い通りに7、8番で合計4安打3四球。それだけにかみ合わせの悪さが浮き彫りになった。7回の明石&吉村の代打攻勢も不発に終わり、フラストレーションがたまる展開だった。

 「あそこで1本出ていたら、大差で勝っている。いつもコンコン打つという訳にはいかない。セの知らない投手を相手に、バッターは集中力を持ってやっている」。きっかけ1つで、どうにでも変わる。工藤監督は悠然と構えていた。黒星発進にも前向きだった。【田口真一郎】