パパがんばったぞ! 20日に第1子の長女が生まれた中日大野雄大投手(26)がパパ1勝だ。パ・リーグ最多得点の日本ハム打線を8回2失点に封じ、リーグトップタイの6勝目。吉川との同学年左腕対決を制した。堂上の活躍もあり、チームは連敗を2で止めた。大野が掲げる「札幌で3連勝」の先手を奪った。

 大野は少し目尻を下げた。「子どもが生まれて2回連続打たれてちゃ、ダサすぎるでしょ。今日は絶対に勝ちたかった」。カッコ良すぎるノーヒットノーランは逃したが、将来何度も愛娘に自慢できる1勝になったかもしれない。

 被安打0で迎えた7回の先頭中島に四球。続く田中に右越え二塁打を打たれ、初めての「H」ランプ。パ最多得点を誇るハム打線の勢いに押され、この回2失点で同点にされた。

 課題としている四球からの失点。だがここでズルズルいかない。再び勝ち越した直後の8回は気持ちを切り替えて3者凡退。白星をたぐり寄せた。

 出産当日の早朝に車で地元京都の病院へ。だが待てど暮らせど生まれない。3日後の登板に向けて練習もしないと…。考えるより先に動いた。新幹線で名古屋に戻り、練習後すぐにとんぼ返り。チームと家庭の大黒柱の自覚がにじんだ。

 病院着後30分で待望の瞬間を迎えた。少しでも迷いがあれば間に合わなかった。「本当に立ち会ってよかったです」。本人は否定するが、23日巨人戦の4失点黒星は疲れの影響もあったはず。その登板後、娘の顔を見にまた2日間だけ京都に戻り、夫人をねぎらった。分娩(ぶんべん)室で18時間もいきみ続けた夫人のためにも、仕事を果たさなければならなかった。

 今日30日に大谷と投げ合う吉見と事前に約束していたという。「札幌で絶対に3連勝しましょう」。まず先陣を切った。連敗ストップはパパ大野の我慢と意地が呼び込んだ。【柏原誠】