チームにも自分にも起死回生だった。西武木村文紀外野手(26)が勝ち越しグランドスラムを放った。逆転され迎えた8回。代打セラテリの適時打で同点に追いつきなお1死満塁。7回に代走から右翼に入っていた木村が打席に立った。カウント2-2から森の5球目、146キロ速球をコンパクトに振り抜くと、高く舞い上がった打球は左中間席に舞い降りた。

 レオ党が歓喜する中、ダイヤモンドをダッシュ。初の満塁弾に舞い上がり、速く走りすぎて前走者秋山を二塁ベース手前で抜きそうになり、手でストップをかけられるほどだった。「正直、入ると思わなかったんです。打った瞬間も覚えていません」と正直に答えた。

 ベンチ内で喜怒哀楽を表さない田辺監督も大きなガッツポーズ。打撃不振を見かね、実は23日から2日続け「ムダな動きが多い。だから差し込まれる。コンパクトに振ってくれ」と打撃指導していた。トップを2回作るクセで、速球に振り遅れていた。「このホームランで調子を上げてくれたら」と期待した。

 開幕スタメンを勝ち取っていた。しかし無安打で2戦目には外れた。3戦目には投球を左肘に受けたが故意に当たったと判定されボールに。しかし、この1球が左手首痛につながって2軍落ち。5月4日に1軍昇格したが、スランプは長かった。「秋山で決めてくれとネクストで思っていたけど、回ってきたので絶対に打ってやろうと思った」。田辺監督とのスイング修正が実り、チームを首位争いにとどめた。【矢後洋一】