御礼弾2発! 中日は平田良介外野手(27)の同点2ラン、決勝ソロの2発で広島を下した。マツダスタジアムでは2日前の球宴でアーチをかけ、広島のファンから大声援を受けていた。敵地へ感謝の気持ちを込めた2本塁打だった。今季2度目の4安打に本塁好返球と攻守にわたる大活躍。幸先よく後半戦のスタートを切り、今日にも最下位を脱出だ!

 敵地でのヒーローインタビュー。平田はしきりに気にしていた。「マイク入っていますか?」。実際には場内には流れないテレビ用のインタビューだったが、理由があった。2日前。同球場での球宴で描いたアーチに大歓声をくれた広島のファンに「お礼が言いたかった」と明かした。

 だがこの日の平田には、さすがの温かい鯉党も「たいがいにせぇや~」と言いたくなったはずだ。まずは0-2の2回1死一塁。ジョンソンの143キロを右中間最深部に打ち返す同点7号2ラン。初回2失点の先発若松に勇気を与えた。

 3回以降、膠着(こうちゃく)状態が続いたが、8回にヒースの外角フォークに腕を伸ばし左翼席まで運んだ。3-2。これが決勝弾になった。谷繁兼任監督も「何かオールスターでつかんで帰ってきたかな。甘いフォークだと思うけど、うまく前でさばいた」と称賛する技ありの一打だった。今季2度目の4安打でチームを勝利に導いた。

 チームの全3得点をたたき出したが、実は同等の価値のある「1点」があった。同点の6回の守備。2死一、二塁から松山の右前への当たりにチャージし、本塁にワンバウンド送球でしとめた。守り合いの中で、ベンチを最高に盛り上げた。

 球宴を席巻した大阪桐蔭勢。成績では少し劣っていた平田も、初出場の舞台でしっかり存在感を示した。「球宴がいい景気づけになりました。いいところで2本打ててよかったです」。夢の祭典が打撃上昇のきっかけになっていた。高校の後輩、西武浅村のハンドワークなど他の打者の打撃を観察。各選手に理論を聞いて回った。「その中で組み込んでみたものもある」とさっそく生かした。

 「どんどん打っていきたいです。後半戦の一発目は大事な一戦。まずは1勝したのでチームが乗っていけば。混戦なんで何とか頑張ります。とにかく頑張ります」。広島とは1ゲーム差。2本の御礼弾は最下位からの逆襲を告げる強烈なメッセージとなって広島のファンに届いた。【柏原誠】

 ▼平田の1試合2本塁打はプロ2度目。前回は11年8月25日ヤクルト戦(神宮)。まず6回に代打で赤川から逆転3ランを放ち、そのまま右翼に入り迎えた8回には橋本から2打席連続アーチを放った。