埼玉から金メダルを-。西武は23日、プロ球団初の車いすソフトボールチーム「埼玉A.S.ライオンズ」(A.S.はAdapted Sports=障がい者スポーツの略)を結成すると発表した。車いすソフトボールの発展、普及のため9月に「ライオンズカップ車椅子ソフトボール大会」も主催する。これをきっかけに活動を広げ、20年東京パラリンピックでの公開種目認定につなげる。

 常勝軍団が、パラリンピック正式種目の採用へ一役買う。西武が発表した新チーム結成と関東圏初の全国大会(9月5、6日、西武プリンスドーム隣接地)開催は、車いすソフトボールの普及を加速させる施策だ。居郷肇球団社長は「20年東京パラリンピックでの公開種目認定を目指す、協会と選手の皆さんを支援できれば」と構想を明かした。

 初めて全日本車いすソフトボール選手権が開催された13年、西武は協会のスペシャルサポーターに就任した。以降は球団主催のイベントなどで定期的にPRを敢行。14年にサポーターに加わった日本ハムとともに、周知と支援の輪を広げてきた。そして競技人口が約300人に増加した今年、西武と同じユニホームの新球団を結成する。

 パラリンピックでの正式種目採用には、競技の裾野を広げ、公開種目の認定を勝ち取る事が不可欠となる。中心となるのが日本と米国。米国は、全米選手権を14年に「ワールドシリーズ」と改称して各国代表の参加を集う形へ変更した。埼玉A.S.ライオンズは国内での競技レベルを高め、日本代表選手を送り出すことが当面の目標になる。

 埼玉A.S.ライオンズの発起人でもある堀江航選手は、会見で堂々と胸を張って宣言した。「アメリカではメジャー球団の協力があり、専用球場もある。車いすならではの面白さに触れてほしい。そしてライオンズのような常勝チームになって、パラリンピックに出たい」。西武がその一助になる。【松本岳志】

 ◆車いすソフトとは 男女混合の10人制で健常者も出場可能。障害に応じて点数でクラス分けし、出場選手を構成する持ち点制。10人目はどの場所を守ってもよい。車いすを動かしやすいアスファルトの駐車場などで行う。16インチと通常より大きいソフトボールを使用。グラブは使わない。発祥地米国では40年前から全米選手権が行われており、レッドソックスやカブスなどがチームを支援している。日本車椅子ソフトボール協会加盟チームは北海道、宮城、埼玉、東京、神奈川、北九州の6球団。