日本ハムのドラフト4位敦賀気比・平沼翔太内野手(18)が心温まる恩返しプランを披露した。8日、福井・敦賀市内の同校で契約金3000万円、年俸520万円で仮契約を結んだ。契約金の使い道の1つとして、中学時代の恩師で、巨人や阪神で活躍した小林繁氏(故人)の記念碑建立計画へ寄付する案を明かした。(金額は推定)

 仮契約を終えた平沼は、高揚感にあふれていた。「着々とプロ野球選手になる日が近づいていると実感しました」。契約金3000万円、年俸520万円。提示された金額にも「自分は興味がない。これからが大事なので」と、キッパリ言い切ったが恩返しをしたい場所がある。「小林さんのためになるなら、寄付したい」。契約金の一部を、かつて教えを請うた故小林繁氏の記念碑建立計画へ寄付するプランを明かした。

 同計画は平沼が所属した「オールスター福井」が手弁当で進めている。巨人や阪神で活躍し、現役時代は「悲劇のエース」と知られた小林氏は、08年から総監督を務めた。志半ばで10年1月に他界した同氏の熱き魂を多くの人に知ってもらいたいと立案した。

 平沼は小学6年生だった09年9月に体験入部し、初対面。父次郎さん(41)は「付きっきりで指導してもらった」と、当時を振り返る。夢への道筋を光照らしてくれた恩師へ、感謝の念は尽きないだけに趣旨に賛同。「ぜひ、役に立てるなら」と快く協力を申し出た。

 近日中にも福井県内にある小林氏の墓前に報告へ向かう予定。「野球をやっている子どもたちが、あこがれる選手になりたい」と、プロでの目標を伝えるつもりだ。活躍して一流のプロ野球選手になることが次なる夢。最初に手にするお金に執着はなく「これから、どれだけやるかが勝負なので」。センバツ優勝投手から、球界屈指のショートストップへ。恩師への感謝の思いを胸に突き進む。【木下大輔】