3年連続2桁となる14勝を挙げた阪神藤浪晋太郎投手(21)が19日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改に臨み、8500万円からの倍増となる年俸1億7000万円で一発サインした。阪神の4年目年俸としては赤星を超えて史上最高額。西武松坂の4年目年俸1億4000万円を超え、球界の5年目年俸最高額となる日本ハム・ダルビッシュの2億7000万円を視界に入れた。(金額は推定)

 特製藤浪ケーキを目の前に置かれ、照れ笑いした。チョコプレートに書かれた「祝! 大台突破」どころの騒ぎではない。倍増の年俸1億7000万円。プロ3年間で大台1億円を楽々クリアし、自分でも驚いた。

 「年俸とかに関しては(入団時)まったく考えていなかったので。1年目もそんなに登板できると思っていなかった。そう考えれば、予想以上だと思います」

 4年目年俸としては赤星の1億円を超えて虎史上最高額。球界全体の高卒選手を見渡せば、日本ハム・ダルビッシュと大谷、楽天田中には届かないものの、甲子園春夏制覇の大先輩でもある西武松坂は上回った。もう阪神という枠に収まりきらない21歳。向上心も球界屈指だ。

 14勝7敗、防御率2・40の今季を「非常に悔しいシーズン」と辛口評価した。9月中旬まで首位を争いながら3位どまり。「やっぱり優勝したかった」。悲願の11年ぶりV奪回へ、開幕投手の最有力候補に挙がる立場。「ものすごく強いこだわりがあるかと言われれば、正直そんなにない」と前置きした上で、大黒柱の自覚ものぞかせた。

 「もちろん目指します。キャンプもオープン戦も開幕に投げるつもりで調整していきますし、しっかり頑張りたいとは思います」

 優勝したらアップ幅が違う-。そう聞かされたことはある。想像の話。もし大黒柱として虎を頂点に導けば5年目の球界最高年俸、日本ハム・ダルビッシュの2億7000万円を十分射程圏に入れられる。

 「最高年俸とか、あまり気にしていないので。金額イコール選手の価値ということになると思うので、もちろん評価していただけるのはありがたいですけど。そのためにやっているわけではないので」

 至って冷静な本人をよそに、周囲の注目は高まる。「200イニングは軽く超えたい」という個人ノルマを乗り越え、美酒を浴びた先に、前人未到のバラ色が待っている。【佐井陽介】

 ▼藤浪が倍増の1億7000円で契約更改。入団4年目ではダルビッシュ、大谷(ともに日本ハム=2億円)摂津(ソフトバンク=1億9000万円)田中(楽天=1億8000万円)に次ぎ、マイケル中村(日本ハム)と並ぶ史上5位タイの金額となった。阪神では04年赤星(1億円)を超える最高額。