西武秋山翔吾外野手(27)を分析。

 秋山がシーズン216安打のプロ野球新記録を作った。

 6月3日から7月12日にかけて31試合連続安打をマーク。連続試合安打としては79年高橋慶(広島)33試合、71年長池(阪急)32試合に次いで46年野口二(阪急)に並ぶ3位、左打者では最長だった。

 出場した143試合のうち119試合で安打を放ち、2試合連続無安打は3度だけ。3安打以上の猛打賞が27度あり、こちらも10年西岡(ロッテ)に並ぶプロ野球記録となった。

 方向別の安打は内野安打18本、左翼74本、中堅48本、右翼76本。200安打達成者の中で内野安打が最も少なく、外野への198本も最多記録だ。

 左翼へ流した安打が昨年の36本から74本へ倍増し、きれいに左右へ打ち分けた。イチロー(オリックス)や張本(ロッテ)でも左翼と右翼の両方向に70本以上のシーズンは1度もない。

 左翼方向と同様に倍増したのが2ストライク後の安打。昨年の48本から95本に増え、2ストライクからの打率が3割1分7厘(昨年は1割8分8厘)。今季の規定打席以上で2ストライク後の打率が3割以上は秋山だけだった。左翼へ打った74本のうち約半分の36本が2ストライク後で、追い込まれてから左翼へ流す技術を身に付け、最多安打記録を更新した。

 安打数は2位の柳田(ソフトバンク)に34本差をつけたが、首位打者は取れなかった。34本差は94年イチローの56本差、96年イチローの46本差に次ぐ大差で、30本以上の差をつけながら首位打者を逃したのは初めてだ。秋山の打率3割5分9厘は、首位打者以外では86年クロマティ(巨人)の3割6分3厘に次ぐ高打率で、歴代首位打者(149人)の中には秋山より低打率が125人もいる。これだけの成績で「最多安打の1冠」はツイてなかった。【伊藤友一】