日本ハムのドラフト8位姫野優也外野手(18=大阪偕星学園)が、打者「二刀流」に挑戦する。千葉・鎌ケ谷での新人合同自主トレ2日目の10日、打撃練習で、本来の右打席ではなく左打席で強烈なスイングを披露した。昨夏の甲子園で本塁打を放った打撃力の持ち主。球団からの両打ち転向プランを受け、習得とさらなるレベルアップを図る。

 おもむろに向かったのは、左打席だった。室内練習場での打撃練習。前日9日に右打席に入っていた姫野だが、この日は不安げに左打席に立った。「まだ振り切れていません」。苦戦しながらも、ボールに食らいついた。両打ちは球団からプランを伝えられ、昨年12月から挑戦を始めた。「やれるに越したことないです」と、闘志は内に秘めながら、前向きに励んでいる。

 将来性ある土台が、夢を広げた。184センチ、85キロの恵まれた体格。高校3年夏の甲子園では1番中堅で、2試合で12打数4安打3打点、1回戦では盗塁を決め、2回戦の九州国際大付戦では本塁打を放った。遠投130メートル、50メートル6秒2と強肩俊足も持ち味の1つだ。高い身体能力に秘める可能性が、球団から評価された。左打ちは幼少期に遊び程度で経験しただけだが、新たな可能性が増えることで、貪欲さも増した。新人合同自主トレ初日の9日はさっそく、夕食後に室内練習場で1時間、マシン相手に打ち込み特訓した。「右打ちは染みついていてクセがあるけど、左は白。どんどんいろんな色を付けていきたい」と、練習にも熱が入っている。

 あこがれの存在を目標に、鍛錬を積んでいく。理想は左の強打者、オリックス糸井。「体もすごい。左打ちは肩がどうしても開いてしまう」と、自分なりに研究し、理想像を描きながらステップアップを図っていく。数奇な縁もある。背番号「61」。両打ちの杉谷が昨季まで背負っていた番号を引き継いだ。姫野も、将来的には両打ちを武器に、幅広い打撃を目指す。「成長する上で、いいと思う」と意欲的に取り組む。

 高校時代は天理を中退し、フリーターを経験し、編入先の大阪偕星学園で甲子園出場を果たした異色の原石。新たな舞台でもポテンシャルの高さを証明する。【田中彩友美】

 ◆姫野優也(ひめの・ゆうや)1997年(平9)4月2日生まれ。大阪府出身。小学時代は水泳平泳ぎでジュニア五輪出場。高校は天理(奈良)を1年春に中退し、大阪偕星学園に編入。投手も務め、初出場した3年夏の甲子園では1番中堅で2回戦の九州国際大付戦で本塁打を放った。推定年俸470万円。家族は両親と姉。184センチ、85キロ。右投げ右打ち。

 ◆日本ハムの主な両打ち 杉谷が高校時代に右打ちから両打ち(右投げ)に変更。4年目の12年6月26日楽天戦(東京ドーム)で右打席初本塁打、15年8月4日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で通算5本目、左打席初本塁打を放った。栗山監督、白井内野守備走塁コーチ兼作戦担当は現役時、右投げ両打ち。