阪神金本知憲監督(47)が27日、2番鳥谷プランを披露した。読売テレビの情報番組に生出演。課題の得点力アップへ「2番=バント」のイメージを一新したい意向を明かした。その超攻撃型オーダーの象徴として、指揮官が有力候補に考えているのが鳥谷。岡田監督でリーグ優勝した05年以来の本格的2番で、再びVの使者となるか。

 金本監督がサプライズプランを明かした。テレビの情報番組で「鳥谷のベスト打順は」と問われ「2番が面白いかなと思っているんです」と答えた。07年以来、実に9年ぶりの「2番鳥谷」。収録後、明確な意図を説明した。

 金本監督 2番はバントする人という変な常識というか、概念を変えたいなと。打順が早く、たくさん回ってくるからいい打者を置きたい。2番目に塁に出る確率が高い人ですね。1死走者なしになっても、次なるチャンスメークをして、塁に出て欲しいので。

 課題の得点力アップを目指す金本阪神は、2番にバント名人を置かない。強攻で一気のチャンス拡大を狙う。たとえ1番が倒れても、もう1人の“隠れ1番”が斬り込み役となって襲いかかる。その役割を期待できる筆頭候補が、昨季は主に1番でチーム最多155安打を放ち、チーム最高打率2割8分1厘を残した鳥谷というわけだ。

 金本監督 (求めるのは)チャンスメークする2番。下位でチャンスをつくればかえす2番ですね。もし2番を打ってもホームラン20本を目指させますよ。

 目標は1発もある最強の2番だ。昨季首位打者のヤクルト川端をはじめ、DeNAラミレス監督も梶谷の2番起用を明かすなど、攻撃型2番は球界の流れにもなりつつある。もっと長打を打てるはずと確信する鳥谷に、単打狙いは望まない。「お前が変わらないとチームが変わらない」。就任間もない昨秋の面談で通達した通り、新境地で「超変革」の象徴になってほしい願いも伝わってくる。

 金本監督 もちろん3番を打てる人がいなければ、3番を打ったりするんだろうけどね。でもレギュラーが3人(鳥谷、福留、ゴメス)しかいないから、打順なんて開幕1週間前ぐらいまで決められない。05年のタイガースなら(今の時期でも)決められるけど…。

 縁は巡る。指揮官が指摘した05年、2年目の鳥谷は2番を90試合務め、1番赤星とのコンビでリーグ優勝に貢献した。本格的な2番はその時以来になる。当時は岡田監督が抜てきした意味合いも強い攻撃型2番だったが、今回は立場も役割も違う。11年ぶり美酒へ、2番鳥谷が再びキーマンになる予感だ。【松井清員】

 ◆05年阪神の攻撃 前年の4位を受け、岡田彰布監督がオーダーを改造。今岡を5番に、広島から移籍のシーツを3番に置き、4番金本と強力クリーンアップを形成した。1、2番は出塁率の高い選手を起用する狙いで、1番は赤星がほぼ固定。開幕で7番だった2年目の鳥谷は2番で90試合にスタメン出場した。

<阪神近年の主な2番打者>

 ◆和田豊(通算508試合)華麗な流し打ちでファンを魅了し、通算1739安打は球団4位。

 ◆久慈照嘉(437試合)堅実な守備を生かし、92年には史上初の本塁打0での新人王。

 ◆赤星憲広(463試合)03年には強打の1番今岡に続き、2番で138試合。3番金本との名コンビで61盗塁を決め、タイトルも獲得した。

 ◆平野恵一(392試合)二塁と外野を掛け持ち。10年の打率3割5分はリーグ2位で、214安打したマートン(3割4分9厘、3位)の上を行った。