メジャー通算66発の中日ダヤン・ビシエド外野手(26=ホワイトソックス3A)が7日、北谷キャンプで「驚弾」を放った。開幕投手に内定している大野を相手にしたフリー打撃で27スイングし、3連弾を2度、計6本塁打。1本はバットを折りながらの1発だった。

 23球目。外角寄りの直球を強振し、バットの先端で引っかけるような形でも強引に巻き込んだ。バキッという鈍い音を残して、飛球は左翼フェンスをまたいだ。メープル素材の白木にはグリップから3本ほど亀裂が走っていた。観客がざわつく中、続けざまに6本目となるアーチを左中間最深部に打ち込んだ。

 「ちょっと先に当たったね。しっかりとらえられたから飛んだよ」と胸を張った。近年の「バット折れ弾」はヤクルト・バレンティンやソフトバンク松中ら数えるほど。連日、感想を求められる谷繁監督は「もうコメントしすぎたんで」と笑わせた。

 大野は調整段階で初のフリー打撃登板。直球ばかり投げ、ストライクゾーンに入れることがテーマだった。「打球が速い。投手ライナーでも危ないのがあった」と新助っ人の力を実感した。真面目な大砲は、初の実戦となる11日の紅白戦出場にも意欲的。「(大野は)今日は打ってくれという感じだったと思う。とにかく一生懸命練習して、キャンプを乗り越えたいね」と穏やかに笑った。【柏原誠】

 ◆規格外のビシエド メジャーの公式戦では約140メートルが最長だったが、飛距離は常にチームでトップクラスだったという。14年のホワイトソックス時代は同年36本塁打したホセ・アブレイユとパワーを競う間柄だった。ブランコが09年に記録したナゴヤドームの天井スピーカーに当てた認定弾の話を聞くと「なら僕が打ってみようか」と興味を示した。2日の初の屋外フリー打撃で6連発を含む9本塁打。愛称はエル・タンケ(戦車)。