ここは俺のポジションだ! 阪神西岡剛内野手(31)が16日、練習試合の楽天戦に1番二塁で先発出場。若手中心メンバーの中で、逆転2ランを含む3打数2安打2打点と大活躍。上本、大和と激しい二塁バトルを展開しているが、強烈に存在感を示した。

 278日ぶりの感触に酔いしれながら、西岡はダイヤモンドを1周していた。逆転を許した直後の3回。やはり千両役者だ。背番号7の一振りが、新生阪神を一気に勢いづけた。

 「特にないです。横田、江越、陽川を大きく取り扱ってください。その下に西岡がホームラン打ったと書いておいてください」

 謙虚にそう話したが、残念ながらそうはいかない。それほどの活躍をしたからだ。1死二塁。相手投手はプロ2年目の安楽。2ボールから高めに浮いた144キロ直球を逃さず強振。右翼スタンドにたたき込み、格の違いを見せつけた。実戦では昨年5月14日ヤクルト戦(神宮)以来の本塁打。5回の第3打席でも中前打を放ち3打数2安打1本塁打2打点。代走上本が送られて、ここでお役御免。ベンチへ下がる際には、ファンからの声援に力強いガッツポーズで応えた。

 今季は不退転の思いで臨んでいる。昨年5月末に右肘内側側副靱帯(じんたい)を損傷。2年連続の故障に泣かされ、シーズンの大半を棒に振った。オフには7200万円もの大幅ダウンを受け入れサイン。「競争していくという、自分が置かれている立場は分かっているつもり」とレギュラーを確約されていない今の状況も受け入れた。この日は陽川、横田、江越、北條ら、若虎中心のメンバー構成。その中に、かつてWBC日本代表として世界一に貢献し、米メジャーも経験した男が名を並べていた。3回の守備では伊志嶺の一、二塁間の打球にダイビングヘッド。右前打となったが、プライドをかなぐり捨てたプレーも見せた。

 上本、大和と激しく争う二塁のポジション。金本監督は「セカンドは頭が痛い。全員使いたい」と話すが、この日の活躍は存在の大きさを表すものでもある。「試合に出れば目標は首位打者。狙っていきます」と鼻息を荒くする今シーズン。背番号7がレギュラー奪取へ、最高のスタートを切った。【梶本長之】