あいさつ代わりの衝撃デビュー弾だ。ロッテの新外国人、ヤマイコ・ナバーロ内野手(28=韓国・サムスン)が20日、中日とのオープン戦に3番二塁で先発出場し、実戦初打席で特大場外2ランを放った。1回1死二塁から左翼を大きく越える先制パンチ。いきなり首脳陣の度肝を抜き、4回に代走を送られるまで2打数2安打2打点、全3打席で出塁した。

 天高く舞い上がった打球を、しばし見届けてからナバーロは走りだした。1回1死二塁、カウント2-2からすくい上げた内角高めのチェンジアップは、軽々と左翼後方フェンスを越えて場外へ消えた。推定130メートルの特大2ラン。「神様に感謝したい。打席で常に自信を持ってるのがよかったんじゃないかな」と不敵に笑った。

 正真正銘の来日初打席だった。2日に石垣島入り、6日から1軍キャンプに合流した。紅白戦など実戦練習には一切参加せず、フリー打撃はアップシューズのまま。伊東監督から「オープン戦初戦に合わせること」を条件に、マイペース調整を容認されてきた。“初めてのスパイク”でギアチェンジ。第2打席は追い込まれてから左前打、第3打席は四球を選んで全3打席で出塁。指揮官も「あれだけ強い球を打てるとは。初実戦であの集中力は感心した」と目を丸くした。

 昨季、韓国リーグ外国人選手記録の48本塁打を記録した飛ばし屋。豪快なスイングの一方で、3度の二塁守備機会では丁寧にゴロをさばいた。今後三塁での動きを試す可能性もあり、申し分なければ伊東監督の「かなり期待できる。かなり使える」の言葉が現実となる。同じくこの日実戦デビューしたルーキー平沢ら、激しい内野手争いはうれしい悲鳴だ。

 試合前、ナバーロは10年レッドソックス時代から応援してくれている日本人家族と久々に再会した。少年と記念撮影に納まり「楽しんでほしいと言っておいたから、結果が出て良かった」。カッコイイ姿を見せられた。触発された打線は井上の2ラン、伊志嶺のソロと2回までに3発を打ち上げ、快勝発進につながった。

 まだまだ、ピークじゃない。「開幕に向けて調子を上げているところ。近いうちに100%の状態になれる。100%になったらもっと自信がつく。楽しみにしててください」。頼もしすぎるひと言が低く響いた。【鎌田良美】

<ナバーロ・アラカルト>

 ◆トレードマーク「ひげ」 トレードマークのあごひげはシーズン中にそらず「美容院は週2回。女性より行ってると思うよ。シャンプーもする」。

 ◆マイペースです 今月上旬の自主練習ではグラウンドに出ず「ニンテンドーのゲームをしていた」。6日のダッシュ中には疲れて座り込んだ。韓国時代は遅刻の常習犯で、素行が取りざたされた。

 ◆メジャー79試合で2発 05年にレッドソックス入り。マイナーでは通算64本塁打。大リーグでは10~13年に4球団に所属し、79試合で打率2割6厘、2本塁打。

 ◆韓国で48本塁打 14、15年は韓国・サムスンでプレーし、昨季は140試合、48本塁打(リーグ2位)、137打点、打率2割8分7厘。22盗塁を決め、93四球を選んだ。48本塁打はリーグの外国人新記録。2年間で79本塁打、235打点。

 ◆MVP 14年韓国シリーズでは4本塁打でMVP。サムスンのシリーズ4連覇に貢献。

 ◆守備はユーティリティー 米マイナー時代から投手と捕手以外をすべて経験。昨季は韓国で二塁手としてゴールデングラブ賞。

 ◆ロッテで30号なら ロッテでシーズン20本塁打以上は過去5年で13年井口(23本)だけ。球団では05年李承■(30本)以来の30号なるか。

※■は火ヘンに華