巨人の老川祥一新オーナー(74)が11日、東京・大手町の読売新聞東京本社で就任会見を行った。高木京介投手(26)の野球賭博問題を受け、臨時の株主総会と取締役会が開催。渡辺恒雄球団最高顧問(89)桃井恒和球団会長(69)白石興二郎オーナー(69)の引責辞任と新オーナーと松田昇新オーナー代行(82)の就任が承認された。全容解明へ、老川オーナーは日本野球機構(NPB)が野球賭博常習者と認定した飲食店経営者(B氏)と笠原将生元投手(25)に協力を要請。14日の紀律委員会にも出席する。

 老川オーナーは再発防止と事実究明に強い決意を示した。「重大な局面で重い役職をお預かりした。一刻も早く事実関係の究明を」。高木京の野球賭博に関与したとされ、NPBの熊崎コミッショナーが「キーマン」と位置づけたのが笠原元投手と経営者。巨人は昨年来、笠原元投手の聴取をできておらず、経営者とは連絡が取れない状況だ。「野球を愛するのであれば、協力いただきたいと思っております」と現状打破への希望を示した。

 昨年設立した「紀律委員会」への出席も決めた。14日に第2回会合があると聞き、予定を調整。オーナーが出席するのは初めてで「チームの現状を知りながら何が欠けているのか。そういうことをしっかりとやっていくということですので」と先頭に立つ覚悟だ。

 再出発に向け、会見の冒頭で「また新たに野球賭博に関わった選手が判明したということで、大変な信頼感を損失することになりました。すべての野球ファンの皆様、すべての球界関係者の方に深くおわびを申し上げます」と頭を下げた。読売新聞社に半世紀いても野球界とは無縁だった。「いち巨人ファン。素人」と自認する。総会では、渡辺氏から「携わっていなかった人間が一から出直し、新しい巨人軍をつくる。そういうつもりで改革に取り組んでほしい」と言われた。

 「(就任が決まった)2日前までは何でもっと早く分からなかったんだろうともどかしく思っていた。調査は徹底的に。再生というより新生。巨人軍の選手になっただけで何となく安住をしてしまうのは、あってはならない。はつらつたる巨人軍にしていかなくちゃいかんと思っております」

 「素人」ならではのフラットな視点で、改革に当たる。【浜本卓也】

 ◆老川祥一(おいかわ・しょういち)1941年(昭16)10月25日生まれ、東京都出身。早大政治経済学部卒。64年、読売新聞社入社。政治部長、編集局長、大阪本社代表取締役社長、グループ本社取締役編集担当、東京本社代表取締役社長・編集主幹などを経て、2011年からグループ本社取締役最高顧問。14年12月から同最高顧問・主筆代理・国際担当(ジャパン・ニューズ主筆)。