オリックスファンには、何と心臓に悪い試合だろうか。最後は倒れ込むようにして、今季1勝目にたどり着いた。福良監督にとっては就任後の初勝利。やっと、やっと、ひと息ついた。

 「きついですね。1つ勝つのは大変。簡単には勝たせてくれない。みんなよくやってくれた」。昨年は開幕3連敗からズルズルと低迷。今季も2戦連続の逆転負けを喫した。絶対に負けられない試合は、ハラハラドキドキが続いた。

 先発ディクソンが6回3失点と粘り、継投に入った。佐藤達、平野とタスキをつなぎ、9回は初登板で抑えに失敗したコーディエが登場。大丈夫か…。そんな不安はいきなり噴出した。

 開幕戦でサヨナラ打のメヒアに、初球を中越え二塁打。浅村の適時打で1点差とされた。さらに安打と四球で2死満塁の大ピンチ。外崎を空振り三振で何とかしのいだ。喜びが爆発。ベンチ裏で、思わず酒井投手コーチと抱き合った。

 記念球は監督に渡さず、初セーブを主張して自分のポケットへ。「監督には、胃薬か何か違うものを渡すよ」。あふれ出た笑顔でジョークを1発。さらに「メヒアとは昔、一緒にリハビリをやった。なのに2回続けて打たれた。次はリベンジする」と誓った。

 両軍合わせて27残塁。今季初の4時間超と長引いたため、試合後にドタバタの続きがあった。急いで着替え、荷物をまとめて次の遠征先の札幌に向かう必要があったのだ。「風呂にも入れんやないか…」と福良監督。心身ともに疲れまくった開幕3連戦だったが、3連敗と1勝2敗では大違い。これで地に足をつけて戦える。【大池和幸】