1軍の舞台に、背番号「26」が舞い戻った。巨人内海哲也投手(34)が、DeNA戦で今季初先発し、6回途中3失点で黒星を喫した。不調から開幕は2軍スタート。もがき、苦しみ、チーム40試合目で与えられたチャンスを白星で飾れなかったが、持ち味の粘りは見せた。チームの連勝は4でストップ。次回登板での雪辱を胸に誓った。

 「1軍、決まったよ」。5月上旬、外出先からの帰りの車中で内海は、妻聡子さんに1軍昇格を報告した。「本当に、良かったね…」。笑顔の聡子さんと顔を合わせると、もう我慢できなかった。2人の頬を涙が伝う。「何で、涙が出るんかなって。1軍に上がれることは、こんなにうれしいものなんだと」。重ねた苦悩が、涙で流れた。

 待望の1軍だが、素直に喜べる昇格ではないと、内海自身が誰よりも悟った。だから、1軍に合流する7日、午前6時30分にジャイアンツ球場を訪れ、誰にも会わず、ひっそりと荷物を運び込んだ。「結果を残してへんのに、申し訳ないなと…」。静まり返った風呂で体をきれいに洗って、覚悟を決めた。

 家に帰っても、野球と向き合う時は孤独を選んだ。試合をテレビで見る時は1人で湯船につかって観戦した。「家族だって、気を使うやろなと。だから、野球を見る時は静かに1人で」。エースの菅野、高木、田口、今村と先発ローテを張る後輩の頑張る姿を見ては、気持ちを奮い立たせた。

 先発の谷間が訪れる度、平良、江柄子、ルーキー長谷川と後輩たちが次々と昇格した。過去のプライドは、とうの昔に捨てた。それでも、周囲から聞こえる「内海は終わった」の声に心をかき乱された。「(野球人生の)末路が頭をよぎった」。不安をかき消せるのは、野球での結果だけ。球場一番乗りで練習するのは当然だった。

 この日迎えた1軍のマウンドは、「やっぱり、最高のマウンドだと感じた」。2軍で味わった苦しみからか、訪れたのは試練の連続。それでも、毎回走者を背負いながらも、要所で粘る持ち味を発揮した。6回途中3失点で黒星を喫した。次は勝つために、マウンドに上がる。【久保賢吾】