27日にも優勝マジック38が点灯する広島に、投手キャプテン福井優也投手(28)が戻ってくる。28日巨人戦(京セラドーム大阪)に先発予定で、2軍再調整を経て5月8日DeNA戦(マツダスタジアム)以来、2カ月半ぶりの1軍マウンドになる。首位独走中ながら、先発投手陣が苦しいチームを助けるべく、夏場の進撃に加わる。

 一言一言に力を込めた。福井の目は前だけを向いている。ようやく巡ってきたチャンスを逃すわけにはいかない。強い決意だった。今季は5月8日までに7試合に登板。1勝2敗、防御率は5・83。残っている数字は期待値からは大きくずれていた。フォームが安定せず、精神的にも負のスパイラルにはまっていた。2カ月半の2軍生活。課題を消化し、戻ってきた。

 「忘れかけていたことを確認した。フォーム的なところでもう1回、やるべきところが分かりました。冷静じゃなくなっていて、自分では分からなくなっていることがあった」

 ウエスタン・リーグで9試合に登板し4勝4敗、防御率3・00の成績を残した。「あらためてフォーム作り、体作りもした」。前回登板の22日オリックス戦(神戸第2)では7回4失点も、4回まで無安打投球。失点したのは5回だけで、最速は145キロをマークした。昨季9勝右腕が徐々に安定感を取り戻してきた。

 悔しさをぶつける。偶然もあろうが「自分が落ちてから、チームは勝ち始めた」。不安視されていた先発陣が頑張り、中村恭、岡田、戸田らが1軍に定着。福井に昇格の機会はなかった。首位を独走中と快進撃を続けるチームの輪に入れていない。「しっかり後半戦、貢献したい。挽回したい」。緒方監督からも後半戦キーマンに指名された。意地を見せるつもりだ。

 チームは最短で27日に優勝へのマジックナンバー「38」が点灯する。相手はどこよりも優勝を知る巨人だ。投手キャプテンは「完璧ではなくても、最少失点。ゲームをつくる投球をしたい」。苦しんだ時間は無駄にしない。ざんげも込めてフル回転だ。パワフルな福井の投球が、緒方カープ1つ目のスパートになる。【池本泰尚】