阪神鳥谷敬内野手(35)が来季は一からの出直しを図る。巨人戦(甲子園)が雨天中止になった18日、金本知憲監督(48)はベテランの来季の起用法について「一からじゃない? やっぱり」と言及。現状の三塁は、あくまで暫定的な配置。来季は本職の遊撃以外にも二塁、三塁も視野に入れ、レギュラー復帰を目指すことになりそうだ。チームはこの日、単独最下位となった。

 チームを支えてきたベテランが来季、険しい道を歩むことになりそうだ。鳥谷は開幕から不振が長引き、7月には遊撃での連続フルイニング出場が667試合で途切れた。ここまで打率2割3分7厘、7本塁打。完全復調とは程遠く、不動だった定位置を若い北條に明け渡す状況が続いている。すでに来季以降を見据えて「ショート北條」を育てていくチーム方針を示しており、来年はポジションを確約された立場ではない。

 今季は残り7試合。前日17日DeNA戦に敗れ、史上最速でクライマックスシリーズ進出を逃した。金本監督は早くも来年の雪辱を期す。戦力を整える上で、鳥谷のポジションにも注目が集まる。この日、来季の守備位置について、再考するのか問われて「イチからじゃない? やっぱり。外国人選手が絡んでくる話だし」と答えた。今季は三塁の定位置が定まらず、9月は鳥谷に任せた。だが、これも暫定的な起用法。「もちろん、もちろん」と指揮官も否定しなかった。

 阪神は来季、貧打を解消すべく、大砲助っ人の獲得に乗り出す。補強リストに挙がるアレックス・ゲレロ外野手(29=ドジャースFA)は三塁守備も経験しており、レギュラー不在のホットコーナーを外国人に任せたい指揮官の思惑も浮き彫りになる。昨秋、新監督に就任時から「レギュラーは鳥谷、福留、ゴメス」と全幅の信頼を寄せたが、来年は一転して厳しい境遇でのスタートになりそうだ。

 遊撃のレギュラー奪取を基本線にしつつ、三塁で定位置を競うのか、13年WBCで適性を示した二塁に活路を開くのか、戦力補強など、チーム事情を総合して判断していくことになりそう。Bクラスが確定した17日「残り試合を頑張ります」と話した。1745試合連続出場中の鉄人がイチからの再出発を図る。【酒井俊作】

<今季の阪神鳥谷>

 ◆3月25日 開幕中日戦は6番遊撃で先発出場。4打数無安打だった。

 ◆6月24日 広島戦で29打席ぶりに安打。28打席連続無安打は自己ワースト。

 ◆7月24日 広島戦で、スタメン落ち。連続試合フルイニング出場が667で終了(プロ野球4位)。なお6回に代打出場し、連続試合出場は継続。

 ◆8月3日 DeNA戦で9試合ぶりにスタメン復帰。3安打を記録。

 ◆同12日 再び遊撃のスタメンから外れ、代わりに北條が入った。

 ◆9月3日 04年シーズン以来、12年ぶりの三塁でスタメン出場。

 ◆同15日 DeNA戦で再びスタメン落ち。先発の左腕石田に対し、陽川が三塁に起用された。16日から先発復帰。