なおも踏ん張り、逆転優勝への道を切り開いた。ソフトバンク東浜巨投手(26)が6回無失点と粘り、9勝目を挙げた。1回2死満塁のピンチをしのいで波に乗り、大量援護にも守られた。7回以降は森、寺原、飯田の継投も決まり完封リレー。東浜は4年目で初の2桁となる10勝にもあと1勝とした。

 東浜がチームに活力を与える好投だ。6回5安打無失点で9勝目。打のヒーロー今宮が初の2桁本塁打に乗せれば、こちらも4年目で初の10勝が目前に迫った。和田が左肘の蓄積疲労で出場選手登録を抹消された窮地の投手陣に、貴重な白星を運んできた。

 「和田さんがいなくなったのは痛いが、カバーできるよう頑張らないといけない。調子は悪くなかったし、中継ぎも経験して大変さも分かっていた。できるだけ長いイニングを投げるつもりだった」

 18日の前回登板は中継ぎで2イニング。2週間ぶり先発は、1回に2死満塁を迎えた。だが森を初球シンカーで二ゴロ。「初球から来ると思っていた。その前の2安打もゴロだったし、低めに投げればゴロになる」と術中にはめた。2回以降も要所を締めた。肉体改造で強みを増した直球を、丁寧に低めに集めた。強打の西武に許した長打は浅村の二塁打1本だけだった。

 スタンドでは母校・亜大の野球部員が観戦。バックネット裏で観戦した生田勉監督(50)は「トレーニングで体が大きくなって、球に強さを感じる」とうなった。9月の東都大学リーグ戦の開幕前には、栄養ゼリーを松田とOB2人で差し入れ。同監督は後輩思いの優しさに「リーグ戦のたびに送ってくれる。ありがたいです」と感謝した。

 後輩に“手本”を示した東浜はうれしそうな笑顔を見せた。「練習の時から観戦に来ていた。中には高校(沖縄尚学)の後輩もいたし、監督も見ている中で恥ずかしい姿を見せられないと思った」と胸を張った。

 7回からブルペンにバトンを託し、完封リレーに貢献。「自分の勝ち星はどうでもいい。チームが勝ったことが何より」と10勝王手に興味を示さず、ペナントレースの行方を再び引き寄せる白星の大きさを強調した。「良く投げたし、次も当然ある」と工藤監督。さらに重圧がかかるマウンドを託されることになりそうだ。【大池和幸】