大阪市の電鉄本社で坂井オーナーにシーズン終了報告を行った阪神金本知憲監督のコメント。

 「4位に終わったことは、自分の力が足らずに申し訳ありませんでした」。

 優勝した広島をモデルに、来季優勝を誓って。

 「育てながら強くする方針はブレずに、もっとたくさん勝てるように戦っていきたい」。

 その他の一問一答は以下の通り。

 ─どんな1年だったか

 金本監督 非常に苦しく、つらい、我慢のシーズンでしたね。でも若手が育ってきたので、すごく楽しいシーズンでもありました。

 ─「苦しかった」とは

 金本監督 夏場勝てなくなった時ですね。打つ、投げる、守るのすべてが機能しない。点も取れないしミスも出る。接戦は終盤ひっくり返される。負けが込んだのは当然で、苦しかったです。

 ─監督業の難しさとは

 金本監督 投手交代にしろ、野手のスタメンにしろ…。1年が終わって反省の方が多いシーズンでした。

 ─喜びもあったのでは

 金本監督 岩貞が10勝してくれて、高山は2割8分には届かなかったけど、北條もレベルは低いけど2割7分をキープした。原口も最後の方は打ち方を工夫していたし、来年飛躍する予感もあった。花は咲いてないけど、芽は出てきたのかなという思いはあります。

 ─攻撃面を振り返って

 金本監督 最初は1番高山、2番横田のフレッシュなメンバーでいった。オープン戦で結果を出したし、走れる攻撃的な2番を置こうということでね。横田が力不足で2軍に落ちたり、機動力野球ができなくなった。足の速い江越も壁に当たって、走る野球がしたかったけど、できなかった。なら打つしかないというところで、主力の鳥谷やゴメスも持ってる力を発揮できなかった。福留1人に頼らざるを得ない状況になって、しんどかったですね。

 ─スタメンも変わった

 金本監督 みんな本調子じゃないし、若い選手は未知数。スタメンも打順も迷いました。固めた方が機能するという意見もあったし、固めたいのはやまやまだけど固めようがなかった。

 ─好機で1本が出ない

 金本監督 チャンスで打てないのは僕も経験がありますが、メンタルが大きく占めると思う。打たないといけない、抑えないといけないという力みだったり。メンタルを指導できれば変わってくると思う。リラックスした方が力が出るタイプ、ガチガチに緊張した方が力が出るタイプ。そこを見極めることができれば。

 ─痛いミスも目立った

 金本監督 失策数はリーグナンバーワンですか。若い選手を使う上で覚悟はしていました。でもその覚悟をはるかに超えてしまう現実があった。そういう選手を使った私の責任と受け止めます。

 ─投手陣全般について

 金本監督 去年14勝した(藤浪)晋太郎がその半分しか勝てなかった。それ以外の先発はだいたい責任を果たしてくれた。今年15、16は勝って欲しいと願うのは当然で、それが7勝では計算外。まだ体もできてないしフォームも固まってない。しっかり体をつくって…。いい感覚で終わってくれたのは来季への救い。

 ─野手で伸びた選手は

 金本監督 高山、北條が夏場以降ポジションを取ってくれて、花はまだ咲いていませんが来年が楽しみ。もっとよくなる、伸びるだろうなと。あとは原口。規定打席行ってませんが2桁本塁打で打率はほぼ3割までいった。あとは守りの面でこれも彼の努力次第。正直ここまでとは思っていませんでした。うれしい誤算ですね。

 ─20日にドラフト会議

 金本監督 今年はかなりいい選手がいる豊作の年。目先より、できるだけ将来性。そこそこの選手を取るより将来、大木(たいぼく)になる選手をドラフトしていきたい。

 ─ドラフト戦略も大事

 金本監督 ここ数年、生え抜きのレギュラーが育っていない現実がある。来年、再来年と現場に気を使わず、将来、もう少し長い目で選手を探して欲しいとスカウトには伝えています。

 ─補強は

 金本監督 去年は若手選手にチャンスを与えたいから、補強はいりませんと言った。でも今年はどの選手がどのぐらいやるか、まだ時間がかかるのかが見えたのでね。誰がどう見ても一番は攻撃力だろうし、後ろの投手。そこを補っていくことはお願いしています。

 ─2年目の基本方針は

 金本監督 もちろん一緒で、育てながら勝っていくこと。今年は若い選手を使って年俸1000万円以下の選手が何人出たとか言われたけど、晋太郎や鳥谷、ゴメスらが去年と同じぐらいやってくれていたら、優にAクラスはいけたと思う。勝負を度外視して育成だなんて思ったこともない。

 ─平野氏が打撃コーチ

 金本監督 (期待は)小技かな。エンドランとかセーフティーバントとか。あとはムードメーカー。明るいし、人間的にもしっかりしてる。周りの状況を見ながら行動できて情熱もある。