日本ハムが4年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけた。初回、ソフトバンク千賀の立ち上がりを攻略。ブランドン・レアード内野手(29)のCS第2号となる3ランなどで一挙4点をリードし、4-1で押し切った。前日13日、逆転負けを喫した栗山英樹監督(55)が、思い切って組み替えた打線が機能。第2戦でソフトバンクに傾きかけた流れを、快勝でグイと引き戻した。
考え尽くした一手で、前夜に残した不穏な雰囲気を打破した。栗山監督の大胆策が、さく裂した。「今日は今まで1回もやっていない形で行く」。打線を組み替えた。第2戦まで8打数無安打だった田中賢を12年以来4年ぶりに9番に下げた。5番には近藤を抜てき。前日13日に特大本塁打を放ったレアードも6番に上げた。「打順は関係ないけど、チームが一番勝ちやすいようにやるだけ」。マイナーチェンジした打線は、いきなり機能した。
1回2死一、三塁。先制の好機に近藤が期待に応えた。「(直前に)中田さんが抑えられた。そういうところでカバーしないとと思った」。初球の153キロ直球に、きっちり対応。左前適時打で流れを引き寄せた。続いたのが、レアードだった。「追い込まれていたし、絶対に来ると思った」と4球連続となったフォークをジャストミート。2夜連続の「特上すし弾」を左翼席へ運んだ。打順を変更した2人が仕事を果たして初回に4得点。速攻で主導権を奪った。
栗山監督は第2戦の途中から、この日の打線のことを考えていた。「試合後は30分間、監督室で。夜中も、今日の朝も…」。たどり着いた結論が、まだ安打が出ていない田中賢の打順の配置転換だった。「打順を下げるということは、いろいろ考えるんだけども…」。ベテランの胸中も推し量りながらの決断だった。試合前、田中賢は張り出されていたオーダー表を見て、9番起用を知った。直接、説明は受けなかったが、指揮官の意図もくみ取った。田中賢は試合後に「あれが監督の最大の策です」と、言った。新たな打線が躍動する布石は2人の間の、あうんの呼吸だった。
逆転負けから一夜明けたこの日は、栗山監督が憧れ、尊敬する長嶋茂雄氏が42年前に後楽園球場で引退試合を行った日。指揮官の心を奪ったスーパースターのように、ファンを熱くさせる野球で1勝をもぎとった。レアードはお立ち台で「アシタ、キメルゾー」と、ファンをあおったが栗山監督は熟考を始めていた。「最後の1つが難しい。相手はホークス。気を引き締めないと」。快勝の余韻はない。今日15日の第4戦も考え尽くした采配で、チームを日本シリーズへ導く。【木下大輔】
▼日本ハムがシリーズ出場に王手をかけた。プレーオフ、CSで先に王手をかけたチームは昨年まで延べ29チームのうち26チームがシリーズに進出。出場を逃したのは77年ロッテ、10年ソフトバンク、12年中日しかない。日本ハムの得点は初回の4点だけ。プレーオフ、CSで初回の得点だけで勝ったのは07年1S第2戦中日、10年ファイナルS第3戦ソフトバンクに次いで3度目になる。第1戦の日本ハムは5回の6点だけで勝利。同一年に得点したのが1イニングだけの試合で「2勝」は初めてのケースだ。



