創価大の最速156キロ右腕・田中正義投手(4年=創価)が、5安打8奪三振3失点で4月5日杏林大戦以来の9回完投勝利を挙げた。日米11球団30人のスカウトの前で、8回にこの日最速の153キロを計測。4月23日に右肩痛で離脱後、初めて9回を投げきった。「いい内容ではないけど、終盤でも納得いく球があった。勝てたので(自己採点は)70点くらいです」。ドラフト直前の大一番で125球を投げ、優勝に王手をかけた充実感を漂わせた。

 揺さぶられても、粘った。2回に犠打とスクイズで先制され、3回以降も投球時の隙を突かれて計4盗塁を許した。「走られても抑えればいい? そんな感じです」。けん制球は投げない。直球狙いの相手を中盤からはフォーク主体でねじ伏せ、7回以降は1人の走者も出さなかった。

 4月に右肩痛で離脱し、7月には右太もも裏肉離れで再調整。苦しんだ1年の最後にエースの役割を果たした。昨年6月、大学日本代表として臨んだNPB選抜戦で7者連続三振を奪った当時の力は発揮できていない。守備面の課題もある。楽天長島スカウト部長は「将来15勝、20勝する可能性を持つスケールの大きさは、やはり田中君」と言った。運命の日まで、あと4日。「完投で1歩成長したと思う。優勝してドラフトを迎えたい」。今秋ドラフトの中心は、田中正義で変わりはない。【鹿野雄太】