中日1位指名の明大・柳裕也投手(4年=横浜)が、ドラフト後初登板を12奪三振2失点の完投勝利で飾り、2季連続の優勝に王手をかけた。9回に1点差まで迫られたが最少失点に抑え、今秋負けなしの5勝目。リーグ通算338奪三振に伸ばし、秋山登(明大)多田野数人(立大)を抜いて歴代8位につけた。立大は優勝の可能性が消滅。

 柳が、ドラフト1位の貫禄を見せた。一打同点の9回2死三塁。マウンドで大きく息を吐き、最後の打者を137球目で左飛に打ち取った。「周りに(ドラフト1位と)見られているので、恥ずかしい投球はできなかった」。3人がドラフト指名された立大を振り切り、力強く右拳を握った。

 調子が悪くても、ベストを尽くして勝つ。柳の真骨頂だった。序盤から球速は140キロ台前半。「直球が走らなくて、変化球を使いながら投げた」。カットボールやカーブで緩急をつけ、2回は無死二塁から3者連続三振。中盤以降は「曲がりが小さくなって、相手も慣れてきた。投げる球がなくなったのでボール球を打たせた」と切り替えた。ピンチでは「狙って取りにいった」と12奪三振。ネット裏で見守った中日中田スカウト部長は「球速の表示以上にキレがあるし、本当に崩れない。1年目から開幕ローテでやってくれる」と目を細めた。

 今春から11勝、リーグ通算23勝を積み重ねてきた。通算奪三振数は明大OBの広島野村に次ぐ歴代8位。プロで193勝を挙げて野球殿堂入りした大先輩・秋山登氏(故人)を超えた。「1つ勝つのは難しいこと。どうすれば勝たせられるか考えて投げるだけ」。大学生離れした投球術と心を持つ柳が、春秋連覇で有終の美を飾る。【鹿野雄太】